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Growing up(32)*

「全部、はいった……」  掠れた声と共に、翔太は熱い吐息をひとつ零して、翼の身体を抱きしめた。 「……う、ん……」  翼の体内がぴったりと翔太で埋めつくされている。 「翼ん中、すごい……」 「……恥ずかしいから、報告せんでええ……」  自分の意思とは別のところで、熱く蕩けた肉襞が、自然に翔太の形を探るように収縮して、もうこれ以上奥は無い筈なのに、さらに奥へと誘い込むように蠢いてしまうのが翼にも分かって、顔が熱くなる。 「あ……っ」  不意に、翔太がトンと奥を突き、翼は喉を仰け反らせて、甘い声を漏らした。 「……動いて、ええ?」 「う、ん……」  翔太は、最初はゆっくりと、翼と視線を絡ませながら、腰を動かし始めた。  浅い所まで腰を引くと、粘膜が縋るように纏い付いてくる。  翼が、切なそうに眉根を寄せて目を閉じた。 「……っ、ああっ、んっ」  深い所へ、一気に突き上げると、翼の声が高くなった。 「……翼……」  誘われるように、薄く開いた翼の唇をキスで塞ぎ、翔太は律動を早めていく。 「──っ、んっ、はあっ、んっ」  重ねた唇の隙間から、翔太の律動に合わせて漏れる翼の声も、早いリズムに変わっていった。  荒い呼吸と、ベッドの軋む音と、体内で擦れ合う水音、肌がぶつかり合う音が、段々と大きく部屋に響く。  翔太が腰を打ち付けるたびに、唾液に濡れた唇が滑って離れても、お互いにそれを追いかけるようにまた重ね直した。  絡ませた舌から、繋いだ身体の奥から、まるで翔太との境目が分からなくなるくらいに粘膜が溶け合っていく気がした。  こんな時がくるなんて、夢にも思わなかった。とっくに諦めていたはずなのに、今はもう片時も離れたくないなんて、思ってしまう。  感極まって胸の奥から熱い物がこみ上げてきて、視界が涙で霞む。  ──翔太が、好き。  翼は必死に翔太の背中にしがみつき、強請るように腰に脚を絡めて、ゆるゆると腰を動かし始めた。  もっと、もっと、翔太の全部が欲しい。  翼の動きに合わせるように、翔太のリズムも変化した。  ──俺も、好き。  それはお互いに、ぎこちなく、まだ幼い動きかもしれないけれど、ただ、ただ、相手を想い、無心に求め合う行為のように思えた。  

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