「やばい……出そう」 　切羽詰まったように声を洩らして、突然翔太の動きが止まった。 「……なん、で？……我慢、せんでええやろ……」 　荒い息の下から見上げると、額に汗を滲ませて、翔太が見下ろしてくる。 「……終わるのが、なんか……勿体無い」 「……あ、アホ……なに言(ゆ)うとぉ……」 　スッと切れ上がった目尻を紅く染め、翔太は堪えるように眉根を寄せていた。 　見つめてくる、熱を帯びた漆黒の瞳に、心臓が跳ねる。 　翼を欲しがる翔太は、壮絶に色っぽくて、男らしかった。 「……終わっても……終わりじゃないやろ？」 　こんな事を、面と向かって言うのは、なんだか恥ずかしい。 　──これからも、ずっと翔太のことが好きなんやから……。 　と、小さな声で付け足して、ふいっと横へ視線を外すと、中にいる翔太がドクンと脈打ち、その形を更に大きく膨らませた。 「……翼、お前……知らんやろ……」 　そう言って、翔太が上体を起こし、翼の腰を強く引き寄せる。 「……え？……あっ」 　ぐっと奥を突き上げられて、翼は背中を撓らせた。 「俺が……ずっと前から、どんだけ翼に、こうしたいと思ってたか……知らんかったやろ？」 「……オレ……っああっ！」 　──翔太とずっと前からこうしたかったのは、オレも同じ……。 　そう言いたかった言葉は、高い嬌声に変わる。 　浅い所まで腰を引き、また突き入れられると、挿入の角度が今までと変わり、翼の頭から何もかもが散っていく。 「あ、あ、……！　ふ、っ、く……ぅ！」 　硬い先端が、さっき翔太の指が見つけた、あの感じる部分を何度も擦り、奥を穿たれ、引きずられて、怖いほどの快感に襲われる。 「や、ああっ、怖い！　翔太ああっ」 「……翼っ、……翼……」 　律動を早めながら、翔太が何度も名前を呼んでくれていた。 　翼の昂りは、蜜口からトロトロと透明の雫を迸らせながら、堰を切りたがってビクビクと震える。 「……っ、ああっ、イく、イくっ」 　伸ばした手に、翔太が指を絡め、シーツに縫いとめると、そのまま伸し掛かってきて唇を塞がれた。 　ずっと好きだった愛しい人の、身体の重みを感じながら、二人で高みを目指す。 　目の前に閃光が走り、ぴったりと合わさったお互いの腹の間で限界に達した半身が跳ねて、翼は熱い飛沫を吐き出した。 　その瞬間、体内で大きく脈打ち、翔太の熱が弾けるのを、薄いゴム越しに感じた。 　激しく舌を絡め合うキスが、だんだんと緩やかに唇を重ね合う。 　優しく髪を撫でてくれる大きな手が嬉しかった。 　──ずっと前から、こうしたかった……。 　好きな人に触れたい。身体を繋げたい。そう思う気持ちは、翔太も同じだった。 　当たり前のようで、だけどそれは難しい事だとずっと思ってた。 　男同士だから。考えたらいけないと思ってた。 　だけど、好きな人とこうする事って、身体が気持ちいいだけじゃない。 　心も満たされて、気持ちよくなるものなんだな……と思う。