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Growing up(34)*

 暫く抱き合ったまま、息が整うのを待っていた。  お互いの心臓がバクバクと早い鼓動を打っているのが、重ねた胸に伝わってくる。  翔太を受け入れたままの翼の体内は、まだ貪欲に収縮を繰り返していた。  背中に回した掌に伝わってくる温度も、優しく抱きしめてくれる腕も、至近距離に感じる呼気も、全てが愛おしくて、今この瞬間が幸せ過ぎて、離れがたかった。  だから翔太が身体を離して、ずるりと中から出ていく時は、言いようのない寂しさを感じてしまう。  ゴムの処理をしている翔太の背中に、思わず手を伸ばし、肩甲骨や背筋を指で辿っていた。 「っ、……こそばいな!」  笑いながら振り向いた翔太に手を掴まれて、ベッドに転がされて、向き合った形で額がコツンとぶつかり合う。 「こそばいって事は、翔太は背中が弱いって事やんな?」 「それは、翼やろ?」  反撃とばかりに、翼を抱きしめて、背中に回した手が、擽るように腰をなぞる。 「……あははっ、やめて……、こそばいってっ!」  そうして、翔太の腕の中でふざけながら触れ合っていると、さっき達したばかりの翼の半身に、また兆しが見え始めた。 「ちょ、ホンマ、あかんて……」  恥ずかしくて、気づかれないように翔太の腕の中で、身を捩り反転させると、うなじに唇を押し当てられた。 「……っ、ん」  思わず甘い吐息を漏らすと、後ろでクスッと笑う声が聞こえる。 「やっぱり、感じてるんや……」 「ちゃ、ちゃう……こそばいだけ……」 「ふーん」  それでも翔太は、まるで悪戯を楽しむように、翼の肌を指でなぞり、身体を寄せてくる。  ぴったりとくっついた腰に当たっている翔太のも、硬くなっているのが分かって、翼は思わず「あ……」と、声を漏らした。 「何、勃ってんの……」 「翼も、おんなじやろ」  翼の身体をうつ伏せに押さえつけて、その背中に翔太は舌を這わせていく。 「しょ、しょぉたっ、あっん、っ……」 「ここ、感じるんや……」 「ちゃう……」 「違うん?」 「……ううん」 「どっちや」  肩甲骨を甘く噛み、辿るように舌を這わせると、翼の声音が変わった。 「翼が、煽るから、止まらなくなる……」 「オレ、そんなん、してへん……」  ──煽ったつもりないんやけどな……。  だけど、まぁいいか。と思う。  二人きりで過ごせる時間は短いから。その間に、翔太の感じるところを全て知り尽くしたい。  少しでも長く、繋がっていたい。相手の事を知りたいと思うのも、二人とも同じだった。  クタクタになるまで愛し合い、睡魔に抗えなくなる頃には、青いブラインドの隙間から、昇り始めた朝陽が射し込んできていた。

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