178 / 198
Growing up(34)*
暫く抱き合ったまま、息が整うのを待っていた。
お互いの心臓がバクバクと早い鼓動を打っているのが、重ねた胸に伝わってくる。
翔太を受け入れたままの翼の体内は、まだ貪欲に収縮を繰り返していた。
背中に回した掌に伝わってくる温度も、優しく抱きしめてくれる腕も、至近距離に感じる呼気も、全てが愛おしくて、今この瞬間が幸せ過ぎて、離れがたかった。
だから翔太が身体を離して、ずるりと中から出ていく時は、言いようのない寂しさを感じてしまう。
ゴムの処理をしている翔太の背中に、思わず手を伸ばし、肩甲骨や背筋を指で辿っていた。
「っ、……こそばいな!」
笑いながら振り向いた翔太に手を掴まれて、ベッドに転がされて、向き合った形で額がコツンとぶつかり合う。
「こそばいって事は、翔太は背中が弱いって事やんな?」
「それは、翼やろ?」
反撃とばかりに、翼を抱きしめて、背中に回した手が、擽るように腰をなぞる。
「……あははっ、やめて……、こそばいってっ!」
そうして、翔太の腕の中でふざけながら触れ合っていると、さっき達したばかりの翼の半身に、また兆しが見え始めた。
「ちょ、ホンマ、あかんて……」
恥ずかしくて、気づかれないように翔太の腕の中で、身を捩り反転させると、うなじに唇を押し当てられた。
「……っ、ん」
思わず甘い吐息を漏らすと、後ろでクスッと笑う声が聞こえる。
「やっぱり、感じてるんや……」
「ちゃ、ちゃう……こそばいだけ……」
「ふーん」
それでも翔太は、まるで悪戯を楽しむように、翼の肌を指でなぞり、身体を寄せてくる。
ぴったりとくっついた腰に当たっている翔太のも、硬くなっているのが分かって、翼は思わず「あ……」と、声を漏らした。
「何、勃ってんの……」
「翼も、おんなじやろ」
翼の身体をうつ伏せに押さえつけて、その背中に翔太は舌を這わせていく。
「しょ、しょぉたっ、あっん、っ……」
「ここ、感じるんや……」
「ちゃう……」
「違うん?」
「……ううん」
「どっちや」
肩甲骨を甘く噛み、辿るように舌を這わせると、翼の声音が変わった。
「翼が、煽るから、止まらなくなる……」
「オレ、そんなん、してへん……」
──煽ったつもりないんやけどな……。
だけど、まぁいいか。と思う。
二人きりで過ごせる時間は短いから。その間に、翔太の感じるところを全て知り尽くしたい。
少しでも長く、繋がっていたい。相手の事を知りたいと思うのも、二人とも同じだった。
クタクタになるまで愛し合い、睡魔に抗えなくなる頃には、青いブラインドの隙間から、昇り始めた朝陽が射し込んできていた。
ともだちにシェアしよう!