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Growing up(37)

「……やっぱり……そうやったんや……」  噂が流れる前から、翔太はその女子と気が合うみたいで、仲が良かった。だからそれは自然な事だと思ってたし、昔の話だし、翔太の口から事実を聞かされても、別に平気だと思っていたのに……。  おかしいな──胸の奥に痛みが走る。  思ってた以上に、ショックを受けている自分に気が付いて、翼は苦い笑いを浮かべた。 「だけど……あいつには悪い事したって、今でも後悔してる」 「……なんで?」 「あの頃、翼への気持ちが本当なのか、まだ自信がなくて、めちゃ焦ってて……そしたら、翼は上級生の女子と付き合い始めて……」  ──だから、自分も彼女ができれば……と思ったんやけど……と、翔太は言葉を続けた。  翼も、中学の頃、一度だけ一年先輩の女子に告白されて、付き合っていた時期がある。  翔太のことが頭の中の大半を占めていて、でもその一方で、どんなに好きでも、ずっと一緒にはいられないと思っていたから。  だけど、やはり上手くいかなくて、2、3回デートをしただけで、すぐに別れてしまった。  翔太とのハッピーエンドはありえないけれど、翔太じゃなければ駄目なのだと、あの時はっきり自覚した。 「でも……やっぱり駄目やった。彼女と一緒にいても翼のことばかり考えてしまうし……結局、続かなかった」  そう言って、翔太は翼を抱き寄せた。 「あの時、翼にちゃんと告白してたら良かったな」 「……ホンマや。()うてくれたら良かったのに」  だけど、それは翼も同じ。 「オレも、もっと早く、翔太に気持ちを伝えれば良かった」  いつも、どうしたらいいのか分からなかった。  お互いに相手を想う気持ちに溢れていたのに、男同士だからという理由で、それを気づかれないように接してきたのだ。 「こんな風に抱きしめたいとか、翼にしか思わへんかった」 「……オレも」  そう返して見上げると、翔太は唇に軽く触れるだけのキスをした。 「キスしたいと思ったのも、翼だけやった」 「オレも、同じや……」  きっと、幼い頃からずっと、二人の気持ちは同じだった。それに気づかずに別々のところで、同じようにその想いを育んでいた。  もしかしたら、あの頃ではなくて、今だからこそ、その想いが通じ合えたのかもしれない。

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