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いざ、旧校舎の美術室へ①
◇◇◇◇
「うう、やっぱり……放課後の旧校舎って何だか不気味だよ……薄暗いし、こんなペンライトだけじゃ……心もとないよ」
「…………このくらい薄暗い方が面白いと思うけどな……想太くんって案外と怖がりなんだね~……って事は、双子の弟である優太くんも怖がりなの?」
――ギシ、
―――ギシ……ギシ、
鉄筋コンクリート造りの新校舎とは違って、木造の旧校舎の廊下は足を前に出す度に音が鳴って、それがただでさえ薄暗い旧校舎を歩いている僕らの不安感と恐怖心を増幅させる。
今にも―――得たいの知れない者達が廊下の先に続いている闇の中から出てきても、おかしくはないくらいに旧校舎の中は不気味さを醸し出しているのだ。
「ん~……やっぱり優太くんも―――怖いんだね、オレが怖さを吹き飛ばしてあげようか……ほら、こんな風に……」
「……や、やめっ…………」
いつものように、ニコニコと愉快そうに微笑みながら急に足をガクガクと震わせている僕の体をギュッと抱き締めようとしてきた。
―――しかし、
「おい……これ以上、ふざけるのは止めろ―――」
今まで無言で僕らと歩いてきた誠が珍しく氷のように冷たい声色で―――知花を制止してくれたのだ。そして、それとほぼ同時に僕らの少し前を歩いていた想太がピタリと足を止める。
「あ、ここ……ここだよ……例の鏡がある美術室……早く入って確かめてみよう!!」
「う、うん…………」
何となく胸騒ぎがしつつも―――ここまで来たからには後に引けない、と僕らは旧校舎の美術室の中に足を踏み入れるのだった。
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