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いざ、旧校舎の美術室へ②

今では授業で使っていない旧校舎の美術室だからなのか、中に入った途端に埃臭さが僕らの鼻を刺激してきた。そして、ペンライトの光を照らしてみると―――あまりにもその美術室が放置され続けてきたのが分かるくらいに、ひび割れたキャンパスや使い古された道工が床や埃のたまった机の上に散乱していた。 しかし、肝心の―――噂の的である鏡が何処を見てみても存在しないのだ。 壁にかけられた古臭い絵画は発見したが、鏡などかけられてはいないし――おそらくコッソリと忍び込んだ生徒が黒板に書いたであろう《やめろ―――ど――れなく――な――》という所々、文字が塗りつぶされて読めないイタズラ書きは発見したものの―――鏡らしき物など見当たらない。 「……あれ、想太……想太……何処にいるの?」 「ボクは此処だよ……優太、見てみて…これ怪しいと思わない?」 薄暗い美術室の中を、散乱している物に躓かないように注意しながら想太の声が聞こえてきた方へと慎重な足取りで歩いていく。 ―――パサッ 確かに―――そこには赤い布がかけられた鏡があった。そして、何の戸惑いもなく想太がその布を取った途端に――僕は異変に気づく。 「……か……がみ…………鏡……鏡……願いを叶えてくれる…鏡よ鏡………ミラー……ジュ……」 その布を取った途端、想太の様子が急におかしくなった。焦点の合っていない目で鏡を穴が開く程に見つめて、周りの事などどうでもいいというようにボーッとした表情で鏡しか見つめていないのだ。 「そ、想太……想太……どうしたの……ね、ねえ……想太っ……!?」 僕の動揺しきっている声さえ―――今の異様な想太には届かない。 「…………」 とうとう無言になったかと思うと、想太はそれが当然だといわんばかりに躊躇なくピタッと左手を鏡に触れる。すると、そのまま―――彼の体は鏡の中へと音もなく吸い込まれてしまうのだった―――僕が止める暇さえなく―――。

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