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ようこそ、異世界へ③

―――知花は一体、何を言っているのだろう? 「……知花が……仕組んだ事……?」 「うん…………そうだよ?オレが全て仕組んだ事……君らが以前に暮らしていたダイイチキュウという世界に潜り込んで―――旧校舎の美術室の鏡の噂を流して、ソレを利用して―――ここミラージュに君らを誘い出した。ある目的のために――――ね」 ニコニコと穏やかに微笑みながら答える知花は学校での彼の姿とパッと見は変わらない筈なのに―――今の僕には、まるで別人のように見える。 「ど、どうして……どうして……そんな事をしてまで……僕らを……こんな所に誘い出したの!?知花―――君は一体、何がしたいの!?」 「ん~……詳しく話すと長くなっちゃうから簡単に言うと―――オレが君らを此処に誘い出したのは、とある人物に復讐するためさ。まあ、想太と誠は……人質というオマケなんだけどね……重要なのは、優太くん……君にオレの復讐の手伝いをして欲しいんだ。」 「ふ……復讐の手伝い?」 あまりにも予想外な知花の言葉を聞いて、呆気にとられる僕を見て――彼はクスッと笑った。しかし、そんな事を受け入れる気など更々ない僕は何とか赤い鎖のような物で繋がれている想太と誠を救おうと慌てて捕らえられた彼らの方へと駆け寄る。 ―――バチッ……ビリッ!! 「…………っ……!!?」 しかし、僕が誠と想太を救うために彼らを繋ぐ赤い鎖に触れようと手を伸ばした瞬間―――、静電気を何倍も強くしたかのような電流が走り、僕の体は呆気なく吹き飛ばされてしまった。 「……優太くん、君が傷付く顔なんて見たくはないんだよ―――大丈夫、君がオレの復讐のための手伝いをしてくれるって約束するなら、想太くんも誠にも危害なんて加えないよ。彼らは初めて出来たオレの友達なんだから。だから、君は頷くだけでいいんだ―――優太くん、オレの手伝いをしてくれるよね?」 「…………」 僕が冷酷で悪魔のような知花の問いかけに対する答えに戸惑っていると―――ふいに、知花の右上辺りに小さな蝙蝠のような生物がいる事に気付いて、思わずソチラをガン見してしまう。 「どうしたの、優太くん……って、ああ……コレの事か……」 『チカ様―――いいえ、第一王子様……っ……私の羽をそんなに引っ張らないで下さいませっ!!』 「…………うるさいよ、シン……お前こそ、何の用?まったく、喧しいお前が来ないように魔法をかけてたのに……どうして此処にいるわけ?ミニドラゴンのお前ごときにオレの魔法は破れない筈なんだけど?」 ふう、とため息をつきながらその生物に話しかける知花とは裏腹に―――僕は未だにそのシンと呼ばれた蝙蝠に似ている生物に釘付けになっていた。 何故なら、そのシンと呼ばれた生物は――よくよく見てみると、大きさは小さいとはいえ本や映画に出てくる黒いドラゴンにソックリだったからだ。

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