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ゴブリンとオークの村①

◇◇◇◇ 再び目を覚ました時―――僕は、またしても一人で地面に横たわっていた。このミラージュとやらに知花から飛ばされ意識を失ってしまっていた時と違うのは―――今は周辺から潮の香りは漂ってはこないという事だ。 その代わりに―――辺りから土が湿っている独特な香りと甘い香りが僕の鼻を刺激してきた。その甘い香りは飛ばされてくる前にいた世界でのチョコレートの匂いに、どことなく似ていて―――思わず、グウッとお腹が鳴ってしまう。 (そ、そうだ……こんな場所でお腹を鳴らしている場合じゃない……早く想太と誠を……探さなきゃ……) ―――ガサッ!! と、その時――――倒れている側にある草の茂みから音がして僕は体を横たわらせたまま恐る恐るソチラへと目線だけを向けてみる。 『πψχЙЛχψχψЙ?』 「…………っ……!!?」 ―――全身が緑色の小柄な体。 ―――僅かに尖っている緑色の両耳。 ―――カッと見開かれた金色の瞳。 そこに立ち尽くし、僕に橙色の小さい丸い木の実らしき物を差し出してきた生物は――悪魔のような知花によって飛ばされる前に暮らしていた世界の本やアニメなどで見た事のある《ゴブリン》と瓜二つの姿形をしているのだった。

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