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再会①
◇◇◇◇
そして、僕は成り行きで青木と橙色の木の実を差し出してくれた《ゴブリン》の後へ付いていく。
『πЛχχχψπ!!』
「…………?」
「―――ここに入れってソイツは言ってんだよ……分かったらさっさと入れ……ノロマ野郎」
ふと、ある場所で《ゴブリン》がピタリと足を止めて僕へと何かを話しかけてきた―――のだが、いかんせん彼が何を言っているのか分からないためオロオロとしていた所、憎たらしい青木の怒ったような言葉が僕の胸にグサッと突き刺さってきた。
《ゴブリン》と青木がピタリと足を止めた所―――それは、パッと見は藁で出来た民家らしきものの前なのだが、キョロキョロと辺りを見渡してみたところ、似たような造りの藁の家が辺り一帯のいたる所に存在しているのが――ここにきてやっと理解できた。
おそらく、ここは《ゴブリン》達が住む集落地なのだろう―――と、僕が勝手に思い込んでいると、ふいに藁で出来た民家の扉が内側から開いた。
中から出てきたのは―――これまた、前にいた世界のアニメや本などで見た事がある《オーク》ソックリな生物だった。ギロリ、と僕を睨み付けるように見つめつつ《オーク》ソックリな生物は手に木の実らしき物がギッシリと詰め込まれているカゴを持ち、呆然と見上げる僕の存在などお構い無しと言いたげな様子で脇を通り抜けてドシドシと重い足取りで外へと向かって行くのだった。
「―――おい、早く入れって言ってんだろ……そうしないと、俺がアイツに説教されんだよ…だから、とっとと……」
「―――ゆ、優太……よかった……無事だったんだね!!ずっと待ってたんだから……っ…………」
イライラが頂点に達したのか、呆然とする僕に対して怒鳴るように言い放ってきた青木の言葉を遮るように藁の家の部屋の中から駆けよってきて、僕の体をギュッと強く抱き締めてきたのは満面の笑みを浮かべる想太だったのだ。
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