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すれ違う心③
「な、何してっ…………んっ……んむっ……!?」
「―――っ……いい加減、お前のノロマっぷりと……鈍感っぷりには嫌気がさしてんだ……お前、俺が何の理由もなく、ただ単にからかってただけだとでも思ってんのか?」
体を力強く押さえつけて押し倒してきただけでなく、その直後に無理やり青木から有無を言わさずに唇に彼の唇を押し付けられ、キスされてしまい―――最早、目の前で僕の顔を睨み付けてくる彼を呆然と見つめ返す事しか出来なかった。
「誠、誠って……お前は前にいた世界でもソレばっかりだったよな……いい加減、ウザイんだよ……」
「あ、青木……っ…………!?」
と、急に僕をギロリと睨み付けていた彼の顔つきが変わった。今にも泣き出しそうなくらいにくしゃっと悲しそうに顔を歪ませて―――尚もジイッと僕の目を見つめてきたため、どう反応したらいいのか分からなかった僕は声を震わせつつも――彼の名前を呼ぶしかなかったのだ。
「お、俺は……ずっと……お前の事が……き……だったのにっ……」
「…………っ……」
あまりの気まずさに―――辺りを静寂が包み込んだ。そして、僕は彼に―――ある正直な想いを告げるために深く息を吸い込んでから青木の顔を真っ直ぐに見つめ直すのだった。
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