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素直な気持ちを告げよう②

◇◇◇◇ ―――想太がこの先にある森の中で待ってる。 そのように青木から言われて、僕は急いで夜の森へと向かっていた。このミラージュに来る前にペンライトを持っていて、本当に助かった。 ライトの光だけでは、若干―――心もとないとはいえ、何も持たずに闇が広がる森の中を一人で歩くよりは明らかにマシだといえる。 しかし、それでも―――土地勘のない場所を一人で歩くのは心細く、歩みを進めては立ち止まって辺りの様子を注意深く確認するといった動作を繰り返しながら―――ひたすら森の中を真っ直ぐに進んでいく。 (やっぱり―――誰かに着いてきてもらえばよかった……) と、一人で夜の森の中に来た事を僅かに後悔しかけた時―――、 「……優太、お前―――こんな場所で何しているんだ?夜の森で―――しかも、こんなに息を切らして……」 「さ、坂本……先生……ですか?先生こそ、こんな場所で――何をして……って、そうだ―――想太を見かけませんでしたか?僕、想太を捜していてっ……」 「―――想太?想太なら……この道を真っ直ぐ歩いていた所で切り株に座っていたぞ?それより、先にこれを飲んで少し落ち着け。ああ、安心しろ、これはただの水だ」 ふいに、闇夜に紛れて現れたのは坂本先生だった。おそらく、森の中にあるという泉に水を汲みにきたのか手には普通の物よりも小さめな桶のような物を持ちながら、ハアハアと息を切らしながら夜の森の中を歩いている僕を怪訝そうな表情を浮かべつつ見つめてきた。 「あ、ありがとう……ございますっ……」 坂本先生が好意で差し出してくれた水を飲まないのは、あまりにも失礼だと思った僕はそれを受け取ると―――勢いよく、ゴクリと飲み干すのだった。

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