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素直な気持ちを告げよう③

―――ドクンッ!! まるで、心臓が飛び出てしまったかのように――坂本先生から差し出された水を飲んだ途端に鼓動が早まる。 僕を襲った異変はそれだけじゃない―――。 体が―――とてつもなく熱いのだ。 そして、目の前で満足そうに笑みを浮かべている坂本先生から目が離せなくなる。彼を目に入れた途端、何とも言い様のない熱い感情が僕の心を支配し―――ただ単に体が熱いから、というだけではなく……思わず服に手をかけ、どんどんと脱いでいってしまう。 僕は坂本先生に、そういう特別な感情を抱いている訳でも、ましてやそういう卑猥な事をしたいと思った事など一度もない。 しかし、僕の意に反して、服を脱ぎさる手は遅くなるどころか、むしろ先程よりも早くなっていく。 「せ、先生……先生……僕を……めちゃくちゃにしてっ……」 「ああ……可愛い……可愛いぞ、優太……」 坂本先生の声で―――そう言いながら、目の前にいる彼はニヤリと口元を歪ませて、上半身裸になった僕の体を引き寄せる。そして、彼の唇が僕の胸元の敏感な部分へと向かおうとしていた時―――、 「…………っ……!!?」 少し遠い場所から―――彼に向かって石が飛んできた。そのおかげでハッと我にかえり、正気を取り戻した僕は慌てて脱いだ服を掴むと―――急いでその場から離れていき、今度こそ想太が待っているという場所へ向かうために真っ直ぐに走っていくのだった。 その途中、石が飛んできた方向へと目を向けると―――草むらの陰に隠れている《子供のゴブリン》がいる事に気付いた。きっと、彼が坂本先生から襲われているのを見つけて助けてくれたのだろうと思い、僕は心の底から感謝するのだった。

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