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襲撃④

「さ、坂本……先生……っ……」 その縦に伸びた亀裂の中から現れたのは―――坂本先生だった。何故、彼がこの裂け目から現れるかが分からず、ひたすら呆然としながらも――僕は苦しげに顔を歪ませながら、どういう事なのか尋ねようとした。 すると――――、 「ゆ、優太……優太……っ……大変……坂本先生と青木がこっちで倒れて―――っ!!?」 先程、青木にお礼をしに行くと言って想太が向かった部屋の方向から彼の慌てふためいている声が聞こえてきたのだが、その想太の動揺しきった声は最後まで言い切る前にプツリ、と途絶えてしまう。 「―――マコトと恋人くんには悪いけど、サカモトセンセイとやらと――アオキとやらには……オネンネしてもらったよ?彼らはミスト達の計画には――余り関係がないしね~……」 空中に現れた亀裂の中から出てきた坂本先生の姿で、少年のように甲高い声で話していたソレは――手に持っている杖から放たれる淡い桃色の光を照らしながら段々と姿を変化させていき、やがて坂本先生とはまるで正反対である本来の姿を現した。 ―――肌は浅黒く、紫色のローブのような服で隠れている箇所は分からないものの、おそらくは全身が褐色で、耳は先に僕らの前に現れたナギと呼ばれていた男と同じように細長く尖っている。 ―――手には木の杖を持ち、頭には服と同じ色の三角帽を被っている。僅かに大きいのか、今にもその頭から落ちてしまいそうだ。 ―――髪の色は、光の加減次第では、まるで太陽のようにキラキラと光っている。ナギと呼ばれた男に比べると、髪の質が艶やかで明らかに手入れされているのが分かった。 「も~……あの子供ゴブリンのせいで、ミストが立てた色仕掛け作戦が台無し……子供ゴブリンさえ来なかったら、うまくいってたんだから~……ねえ、マコトの恋人くん?失敗したのは、ミストのせいじゃないでしょ……ミストのせいじゃないよね?」 「おい、今更……そんな事どうでもいいから、さっさとマコトの恋人くんを回復しろ……そうしないと、アイツが―――っ…………来るぞ!!」 ナギという男が―――どことなく慌てた様子でミストへと命令する。ミストはおそらく仲間らしいナギから命令されて少しだけ、ふてくされたような表情を浮かべたが―――その言葉を聞くと、渋々と杖を構えながら―――床へ倒れたままの僕の方へと歩み寄るのだった。

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