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地下牢で僕らは仲間になる①

◇◇◇◇ ―――ピチョンッ……ピチョッ…… 「―――おい、優太……大丈夫か!?」 世界で一番大好きな誠の焦っているような声が―――聞こえた気がして、僕はハッと目を覚ましてから勢いよく体を引き起こした。 すると、天井から水滴が落ちてきて呆然としながら辺りをキョロキョロと見回して状況確認をする僕の額を濡らした。 その水滴の余りの冷たさに、一瞬だけ反射的に目を閉じてしまう。 「―――ったく、何で俺様までコイツらと一緒に地下牢に閉じ込められなきゃいけねえんだよ……つーか、あのシリカが何で連帯責任なんえいう難しい言葉を知っているんだよ―――っ!?」 「ん~……まあ、こうなったなら仕方ないんじゃないかな~……サンも、こうなるなんて思いもしなかったんでしょ……なら、仕方ないんじゃない?まあ、マコト達をこうしてあの焼けた村から連れ出す事には支障がなかったんだから構わないんじゃないかな~……あの村のゴブリンやオークだって避難させたんだしさ!!」 「…………」 傍らにいるナギとミストの会話を聞いて、僕は慌てて彼らの方へと驚愕を露にしている顔を向けた。ミストやナギと違って―――サンは我関せずという様子でソッポを向いている。 「ん……何、マコトの恋人くん?ミスト達に何か聞きたい事でもあるのかな~?答えられる範囲でなら―――ミストが答えてもいいよ?」 「今、君は……あの村にいたゴブリンやオーク達を―――避難させたって言ったよね?それ、どういう事?」 「…………言葉の通りだけど?ミスト達は喧しいシリカ様の命令に背く訳にいかないから、村は燃やしたけれど―――ゴブリンやオーク達はちゃんと、とある場所に避難させたんだよ。まあ、それもこうして失敗しちゃった訳だけどね……」 目の前にいて僕へとニコッと頬笑んでくるミストというエルフの言葉を信じるべきか、それとも信じないべきなのか―――考えてみてもよく分からなかった僕は困ったようにチラッと誠の方へと視線を向ける。 相変わらず、青木や坂本先生―――それに想太は気を失ったまま氷のように冷たくて硬い石造りの床に横たわったままだ。 「―――優太、ソイツらの言葉を容易に信じるな。大体、この目であのゴブリンやオークとやらが無事かどうかも見ていないのに―――信じる訳がっ……ない……」 「あ~……面倒くせえ!!こんなだから、俺様はマコトが苦手なんだっての―――ミスト、さっさとてめえの魔法でゴブリンやオーク共が無事なのを――その堅物野郎に見せやがれ!!」 「え~……しょうがないなぁ……今、魔力はあんまり使いたくないんだけど―――ζζβΦΨΚΩЙπ!!」 ナギの文句に対して、またしても不機嫌そうな表情を浮かべつつ―――ミストは杖を構えると、そのまま天井から今にも落ちてきそうな水滴へと目をやり、その杖先をソチラへと向けてから、おそらく魔法を出すための詠唱の言葉をボソッと呟いた。 すると、その水滴が僕らに向かって落ちてくる前に、まるで風船が膨らむような動作で巨大化し―――巨大化して膨らんだ水滴の外側に、とある映像が徐々に浮かんでくる。 それは――――あの燃やされた集落地で共同で暮らしていた《ゴブリン》や《オーク》達が笑顔で微笑んでいる光景だったのだ。 証拠といえる映像を見たからには―――ミストの言葉を信じない訳にいかず、誠と僕は気まずそうにエルフ達を一瞥してから、ペコリと頭を下げて謝るしかないのだった。

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