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地下牢で僕らは仲間になる②

「す、済まない……さっきの言葉は―――忘れてくれ」 「ミストは全然気にしてないよ―――マコトが疑り深くて……堅物なんていうのは知ってたし」 ほんの僅かだが―――先程のわだかまりが解消され、誠がミストの言葉に対して少しだけ嬉しそうな笑みを浮かべつつ互いに見つめ合った。それに対して、僕が嫉妬からくるショックを受けていると、ナギがジロッと僕らの方を睨んできた。どうも、陽気なミストよりも―――どことなく以前の青木に似ているナギが苦手だ。しかし、何も言わずに此方の方をジイッと見つめてくるサンは―――もっと苦手なのだ。 「―――おい、それよりも……これからどうやってこの地下牢から出るんだ!?まさか、あんなに我が儘で単純なシリカが―――サンの立てた作戦に騙されず、俺様達まで閉じ込めるなんて思ってもなかったぜ……」 と、ナギが僕らを捕らえている檻の柵を掴み、ガシャガシャと乱暴に音を立てて振りながら、なんとかこの檻の中から出ようと抵抗しめいた時―――、 「―――そうそう、そのエルフの言うとおり、本当に我が儘で生意気で―――単純で――。そんな愚かなシリカには罰が必要だよね……ねえ、地下牢に閉じ込められた哀れな一行さんたちも……そう思うよね~?」 唐突に暗くて陰気な地下牢の中に―――クスクスと愉快げに笑う聞き慣れた男の声。 「―――ち、知花……っ……どこ、どこにいるの……いつから、ここにいたの!?」 「ん~……オレはずっとここにいたよ?無能な君らが―――オレの存在に気付いてなかっただけじゃないかな~……まあ、いいや。じゃじゃーん、ほら……この服、オレに似合うでしょ?」 ――カツ、カツ…… 石造りの床を歩く足音が―――知花の声が聞こえてきた方向へ目線を向けつつ呆然とする僕らのもとに近付いてくる。 「やっぱり、シリカがこのミラージュの王位継承者だなんて……おかしな話だよ。ミラージュを守る護衛官さえ、まともに教育させる力すらないんだから―――もう、オレがこのミラージュを乗っ取っちゃってもいいよね~?」 口元を歪ませて、愉しげに笑いながら紫色の警護帽の豪華な飾りをいじりつつ話しかけてきた知花の姿は―――この王宮に来たときに門の前で立っていた二人の護衛官の内の一人であり、第二王子のシリカに気をつけて下さい、と僕ら に忠告してきた男のものだ。 地下牢は―――灯りが録にないせいで暗く、全身が紫色の警護服は目立たない。 だからこそ、知花は―――僕らに気付かれずにこの地下牢にいれたのだろう。

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