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地下牢で僕らは仲間になる③
「……知花、何で今更―――僕らの前に姿を現したの?君の目的は……一体、何!?」
「ん~……だから、前にも言ったよね?まあ、あの時は時間もなかったし簡単にしか言わなかったけど、ある人物たちに復讐する事が目的だって。因みにオレが復讐したい相手―――それは、今……この上の部屋で黄金の玉座に座ってる愚かで生意気で―――救いようがないくらいに単純な弟のシリカさ……まあ、復讐したい相手はそれだけじゃないけれどね~」
学校にいた時のようにニコニコと愉しげな微笑を浮かべてくる知花の言葉を聞いたナギは今までは呆気にとられてしまっていた表情が―――途端に焦りへと変わり、下手すれば知花に掴みかかりそうな勢いで余裕そうな態度を取っている知花を睨み付ける。
「……っ……てめえ、まさか……シリカに何かしたのか!?」
「あれ~……役立たずのエルフごときがミラージュの第一王子であるオレに逆らっていいのかな~……あまり逆らわないほうがいいよ?じゃないと、オレの仲間達のオークが―――シリカをもっと痛い目に合わせちゃうからさ……ほら、これ見なよ」
―――パチンッ……
知花が悪魔のような微笑を浮かべつつ、ふいに先程ミストが魔法を唱え、巨大化した水滴の映像が―――映り変わる。その途端、幸せそうに笑い合っていた《ゴブリン》や《オーク》の姿は消え去り―――代わりに、一糸纏わぬあられもない姿となり、苦痛そうな表情を浮かべて涙ぐむ第二王子シリカの様子が映し出されるのだ。
―――ミストの魔法によって映し出された《オークの群れ》が、先程まで玉座に座ってふんぞりかえっていたシリカを押し倒し、その裸体を弄ぶ――残虐きわまりない映像を見て、僕らは息を飲んだ。
―――ブツンッ……
と、そこで映像が途切れてしまう。
「さて、君らには責任を取ってもらわなくちゃ……そこのシリカ大好きなナギとかいう愚かなエルフがオレを愚弄した罪―――それの代償だよ。ん~……何がいいかなぁ……」
悪戯を企んでいる子供のように無邪気な微笑を浮かべながら知花は辺りをキョロキョロと見回すと―――ある箇所で動きを止めた。
「ん、決めた……この可愛いワンちゃん……想太くんを人質にもらうことにするよ―――優太くん、これから頑張ってオレを追いかけてきてね―――それじゃあ、またね~」
「そ、想太……想太を返して……想太っ!!」
と、爽やかに言った知花はグッタリと気を失っている想太の体を抱え、ミストが魔法で巨大化させた水滴の中へと消え去る最後までその忌々しい微笑を僕ら一行に向けたまま人質となった想太と共にあっという間に姿を消してしまうのだった。
―――泣き喚く僕の言葉を無視して。
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