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ティーナの酒場①

◇◇◇◇ 「あ、ここだよ……きっと……シン様が言ってたティーナの酒場って―――ほら、看板にも書いてあるし……」 「ほら、さっさと入ろうぜ―――早くしねえと、ウィルオーウィプス以外の魔物が出ちまうからな……」 あれから―――どのくらい歩き続けたのか。 深い夜の森の中を抜けて、少しばかり歩き終えると―――先に続いてる道の脇にポツン、と灯りのついた木造の建物を見つけた。大きさは、それほど大きくはないものの赤い屋根が特徴の可愛らしい見た目の建物なのが分かる。 おそらく、この建物の住人は―――女の人なのだろう、と思ってしまう程に絵本に出てくるようなメルヘンちっくな建物なのだ。 ―――ガチャッ すると、ノックをする前に―――ナギが無遠慮に扉を開けてしまう。 (そ、そんな……ノックくらいしないと……失礼なんじゃ……) と、僕は思ってしまったが考えてみればミラージュの……しかも、エルフである彼にはそもそも、そのような固定観念は存在しないのかもしれない。 とにもかくにも、僕はナギが無遠慮に扉を開けてしまったせいで気まずそうにしつつも――ゆっくりと《ティーナの酒場》の中へと足を踏み入れるのだった。

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