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大切な人を助けに② ※誠視点
――ゴポッ……
――ゴポ……ゴポッ……
あれから、再び海の中に戻ってきた俺は先程見つけた物の場所まで泳いでいく。
俺が泳いでいった場所には――以前に沈んでしまったであろう船の残骸があり、おそらくその船に乗っていたであろう冒険者達の武器だった槍が――運よく、まだ使えそうな状態のまま残っているのだ。
以前の持ち主であり、とっくのとうにこの世を去ってしまったであろう冒険者に心の中で非礼を詫びつつ感謝した俺は――その槍を手にすると、優太とウィリアムという男を捕らえているクラーケンの蛸の足のような気持ち悪い触手に向かって俺までもが捕らえられないように充分に注意をしながら泳いでいく。
※ ※ ※
――グサッ……
――グサ……グサッ……!!
拾った槍でクラーケンの触手へと槍で何度も突き刺し攻撃する。すると、クラーケンの下半身がビクビクッと震えて、まずは優太がその気持ち悪い蛸の足のようなヌメヌメとした触手から解放されたため、俺は優太の体を暗い暗い海の底へ沈ませまいと強く掴む。
すると、またしても呼吸が苦しくなってきた。
そこで、優太の体を力強く抱き締めながら地上へと戻る。優太の安全を地上にいる仲間――3人のエルフ達に託すために――。
※ ※ ※
「優太を――頼む!!」
地上からクラーケンを攻撃している真っ最中の3人のエルフ達に頼むと、またしても俺は暗い暗い海の中へと飛び込んだ。
俺には、まだ救わなくてはならないニンゲンがいる――。
優太が命がけで救おうとしていた男――、
ウィリアムを――救わなくては。
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