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大切な人を助けに③ ※誠視点
その後、俺はクラーケンの下半身の触手に捕らえられているウィリアムを救うために、先程――優太を救った時と同じように槍をクラーケンの下半身でウネウネと蠢いている触手を何度も突き刺しながら攻撃した。
すると、クラーケンは苦しげに蛸の足のようなヌメヌメとした触手が生えている下半身をばたつかせ、堪らないといわんばかりにウィリアムの体を離した。すぐに、ウィリアムの体が海の底へと沈んでしまわないように気を失ったせいでグッタリとしている彼の体をなんとか抱えると――クラーケンがばたつかせている下半身の触手に当たらないように細心の注意を払いながら地上へと浮上する。
※ ※ ※
「…………ぷはっ!!?」
「マコト……二人を――助けてくれたんだね!!よし、そうと決まれば後はミスト達の魔法でクラーケンを倒すだけ――サン、ナギ……さっき話し合った通りにいこう――これで、クラーケンにトドメをさすんだ!!」
「わかってるっつーの……ミスト、てめえに言われなくても――シリカのヤツが苦しんでるふざけた幻覚を利用して俺様を小馬鹿にしやがった海の魔物に一泡吹かせてやりてえんだ!!」
「こればかりはナギに同意だ――このミラージュの第二王子殿を蔑んだ罪は重い。ミスト、ナギ……失敗は許されないぞ。これで、カタをつけてやれ」
俺が海の中から地上へと浮上すると弱りきっているクラーケンに向かって油断する事なく弓矢や、余り魔力を使わずに済む下級魔法で攻撃していた3人のエルフ達が、力を合わせながら俺とウィリアムの体を水中から地上へと引き上げてくれるのだった。
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