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目覚めの朝①

――何だか、長すぎる夢を見ていた気がする。 ――その長すぎるけれど心地のいい夢の中には、ずっと僕の愛しい人である誠が出てきて、いつもなら絶対に見せて来ないような穏やかな笑みを夢の中での僕に向けてきてくれた……ような気がする。 (夢の中だけじゃなくて……現実でも……あんな穏やかに頬笑みかけてくれる誠を――見てみたいのに……) そう思いながら今まで瞑っていた目をゆっくりと開けた僕だったが――まず、最初に僕の目に飛び込んできた光景に気付くと心臓がドキッと飛びはねてしまうのではないかと思う程に驚いてしまう。 何故か、僕の手をギュッと握りスヤスヤと眠っている大好きな誠の姿が僕の目に飛び込ん出来たせいだ――。 一瞬――まだ夢の世界の中にいる、と思ってしまったが僕の手を固く握っている誠の手の温度は温かくて――それが現実だという事を物語っているのだ。 大好きな誠が理由は分からずとも僕の手を固く握ってくれているという事を自覚すると、心臓はバクバクして顔は見る見る内に林檎のように耳まで真っ赤に染まってしまう。 ――ガチャ……!! 「あ、マコトの恋人くんも目を覚ましたんだね……おめでとう。マコトが必死で看病してくれた甲斐があったね――それに、ウィリアムっていうニンゲンも目を覚ましたみたいだよ……良かったね……って……もしかして、お邪魔かな?」 僕がすぐに誠から離れるべきか、それともこんな夢の中のように心地よい状況を――もっと楽しむべきか真剣に悩んでいると、ふいに扉が開いて部屋の外からミストがやってきてイタズラつ子のようにニヤニヤしつつ困惑しきっている僕へと言ってくるのだった。

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