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二人きりの夜⑤
「お前――さっき、ぶつかった男に見惚れていただろ?」
「…………えっ!?」
誠が僕をキツく抱き締めたまま低い声で尋ねてくる。図星だった僕は――ドキッとしてしまい少し驚いたような表情を浮かべてしまう。
「そんな……そんな事……ないよ……ん、んんっ……!?」
「んっ……はあっ……これで――俺が怒った理由が分かったか?」
誠をジッと見つめていた僕だったが、やはり気まずくなってしまい、慌てて目線を逸らそうとした。しかし、それを見逃さなかった誠は僕の顎をとらえて半ば強引に自分の唇を僕の唇に重ねてくる。
「んっ……ふっ……誠、ごめん――もっと、もっと……誠が怒った理由……身をもって教えてくれると――嬉しい……」
そして誠の唇から名残惜しそうに自分の唇を離すと、今度は僕の方から誠の耳元で甘く囁きかけるのだった。
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