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別れの朝①
※ ※ ※
――チュンッ……
――チュン……チュンッ……
微かに開いている窓の隙間から差し込んでくる眩しい太陽の光と、酒場を取り囲むように沢山生えている木々にとまっている鳥達の美しい囀りが聞こえてきて――僕は、ふっ……と目を覚ます。
そして、隣で――まだスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている誠の顔の方へと目線を移すと徐々に昨晩の出来事が思い出されてきて恥ずかしさと嬉しさが僕の心にじんわりと染み込んできて胸が熱くなってしまう。
――コン……コン、コンッ……!!
このまま、ずっと――この余韻に浸っていたかった僕だったが不意に誰かが扉の外側からノックしている事に気付く。
「……は、はいっ……どなたですか?」
「あら……目を覚ましていたのね?そろそろ、朝ごはんにしようと思っていたの……もしも、食べられるようなら下に降りてきて……他の皆は、もう下に降りてきてるわ」
――それは看板娘のティーナさんの声だった。
その後、ティーナさんが部屋の前に来てからも――まだスヤスヤと眠っている誠を半ば強引に起こしてから身支度をすると皆と共に朝ごはんを食べるために一階へと降りて行く僕らなのだった。
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