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ピクシーの導き①

「それでも――やっぱり僕は……このピクシーを助けたい。こんなに苦しそうに助けを求めてるのに――見捨てるなんて……僕には出来ない」 「……うん、マコトの恋人くんなら――きっとそう言うと思ってた。じゃあ、ピクシーを助けると決まれば……ミストが回復魔法をかけるよ。あまり強い魔法はかけられないけど……」 僕がやっとの思いで決意した言葉を緊張しつつもミストへ答えると、どことなく安堵したような――少しだけ呆れたような複雑な表情を浮かべながらも、ミストが先程の誠と同じように優しく僕の肩へと手をポンと置いた。 「ΘΘΘΘΘΨΨββΩΩЙЙ」 ミストが尚も悲痛そうな鳴き声をあげているピクシーの体へと杖先をかざして回復魔法とやらの詠唱を行う。 すると、ミストが詠唱を終えた途端にピクシーの体全体が――まるでダイイチキュウに存在していたホタルのように少し緑がかった金色という幻想的な光で包まれたかと思うと、つい先程まで悲痛そうな鳴き声をあげていたピクシーの様子に段々と変化が起こっていく。 「フィー……ピィー……ピィー……!!!」 ミストの杖先から発するホタルのように幻想的な光が完全にピクシーの体の中へと吸収された途端に、さっきまでは蚊のなくように弱々しかった声の大きさが格段に大きくなり、苦しそうに悲鳴をあげていたのが嘘だったのかと思える程に元気を取り戻したピクシーは嬉しそうに僕や誠――そして、元気を取り戻すきっかけとなったミストの周りを飛び回るのだった。

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