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ピクシーの導き②
突然、僕達の周りを元気よく飛び回っていたピクシーが――まるで僕達に此方へ来てと訴えているかのように獣道といってもいいくらいに細くて狭い脇道の先へと飛んで行ってしまう。
「おいおい――この道……進んでも大丈夫なのか?」
「――もしかしたら、この狭い道に誘導する事こそ――あの厄介なピクシーの罠なのかもしれないぞ……そうだったら、お前らはどう責任を取るつもりだ!?」
「そ、それは……っ……」
細くて狭い獣道らしき所へ進んで行くピクシーを慌てて追いかけていくと、未だに不満げな様子でナギとサンが言い放ってきたため、僕はバツが悪くなり――言葉を失ってしまう。
「おい――優太だけが悪い訳じゃないだろ……俺だってあのピクシーを助ける事に賛成した。だから優太を責めるのなら、俺と一緒に責めろ……優太、落ち込み過ぎるんじゃないぞ――お前は前の世界にいた時から一人だけで悩みを抱えこむクセがあるからな……」
「ありがとう、誠……」
すると、誠が庇うかのようにナギやサンを諭してくれたため思わず嬉しさから顔が緩んでしまう。
「……まあまあ、こんな場所で口論してても仕方ないし……マコトが言うように優太のせいだけじゃないよ……ミストだってピクシーに回復魔法をかけて元気にしたんだし……それよりも、今は仲直りが大事!!ほら、アクシュして……アクシュ!!」
ミストの言葉を聞いて――ナギとサンはバツが悪そうな表情を浮かべつつ、手を差し出してくる。ミストが言うところのアクシュが、ダイイチキュウでの握手だという事に気付いた僕は少し照れ臭くなりながらもソッとナギとサンの手を握ってアクシュしてから仲直りするのだった。
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