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新たなる出逢い①

※ ※ ※ 「あの二人――大丈夫かな?」 「ナギとサンなら大丈夫……大丈夫だって――信じてる。それに、あのサンとナギがワーグの群れごときにやられるようなタマじゃないのは……ずっと一緒にいたミストがよく分かってるよ」 「えーっと……そういう事じゃなくてワーグの群れを上手く撒けたとしても……何の目印もなくて僕達の後を着いて来れるのかなって……。案内役のピクシーは……今、僕らの前にいるし――」 その後、案内役のピクシーに導かれて僕とミストは狭い獣道を黙々と歩いていたが、ふいにそんな不安にかられてしまった僕はモヤモヤとした感情を抱えつつもミストへと尋ねてみる。 「――ああ、その事なら大丈夫だよ。ミストが、ナギとサンが暗い暗い不気味な森をさ迷う事がないように予防線を張っておいたから。ほら、ミストの足元を――見てみなよ」 「あ、足元を……!?」 言われた通りにミストの足元を見てみると、ミストが踏んでいる足跡の周辺がボンヤリとだが青白く光っているのが分かる。 まるで、道しるべだというように――今までミストが歩いてきてついた足跡が青白く発光しているのだ。 「――発光魔法だよ。恐怖の感情がミストの中から滲み出てたし、咄嗟にやったから完璧じゃないけど――ナギとサンだったら……きっと気付いてくれると思う」 「ミストは――あの二人を心の底から信用してるんだね……それって、とても素敵な事だと思うよ……」 「あ、ありがとう……ユウタ」 そんなやり取りをしながら、僕と誠――そしてミストは黙々と暗い暗い不気味な森をひたすら前へ――前へと歩みを進めて行く。 ※ ※ ※ いったい、どのくらい――夜の不気味な森の中を歩き続けたのだろうか。 急に――視界が開け、毒々しい紫色の木々や草とは別の光景が僕らの目に飛び込んできた。 辺りに転々と存在する――藁でできた民家らしき建物。 建物の周辺をボンヤリと照らしているランタンの橙色の光。 ――そして、 「あ、あのっ……大丈夫ですか!?」 「誰か――他の村人を……連れて来ましょうか!?」 慌てふためきながら、あまりの疲労から地面に倒れ込んでしまう僕らに駆け寄ってくる――見慣れない女の子の姿。 その女の子の声を聞きながら、やっとの思いで毒々しい木々や草が生い茂る不気味な森を脱出し、目的地である村に着いた事を自覚した僕はサンやナギには悪いと思いつつも、ホッと安堵してしまうのだった。

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