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新たなる出逢い②

「あ、あの……あなた達は何で――こんな狭い道を……って――フィーピー?もしかして、あなた達がこのピクシーを見つけてくれたんですか?」 その女の子は耳が見えないくらいウェーブがかった腰くらいまでの長い栗色の髪を垂らしていて、少し怪訝そうな表情を僕達三人に向けながらも遠慮がちに尋ねてくる。そして、僕達の周りを飛び回るピクシーに気付いたのか――急に嬉しそうな笑みを浮かべるのだ。 ――どうやら、このピクシーはフィーピーと呼ばれているらしい。 そして、女の子の話しをよくよく聞いてみる。一緒に暮らしているフィーピーが突然いなくなってしまって必死で森周辺を探していたらしいのだ。 「あの――フィーピーを見つけてくれて、ありがとうございます。その……お礼を言うだけじゃ満足しきれないし、もう夜も更けているので――良ければ家に泊まっていきませんか?」 ふと、女の子が僕の手をギュウッと握りながらワインのように赤い瞳を此方へと向けてきてジッと僕の顔を見つめてくる。 「あ、あれ……っ……!?」 「ユ、ユウタ……大丈夫!?」 「おい……優太、本当に大丈夫か!?」 急に激しい目眩に襲われてしまった僕は、そのまま地面に倒れてしまいそうになったもののすぐに誠とミストが駆け寄ってきて僕の体が崩れ落ちないように必死で支えてくれる。 「急に――どうしたんですか?もしかして、具合が悪くなってしまったのでは……?それでは、尚一層のこと――このまま放ってはおげせん。どうぞ、私の家に来て下さい」 女の子がニッコリと優しく穏やかな笑みを此方へ向けてきたため、無下に断る事に抵抗感を覚えた僕らは――親切な女の子の言葉を受け入れる事にしたのだった。

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