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スライム攻めにメロメロ⑥
「んっ……あっ……ひ、引きこもり……っ!?」
「そうだよ……ぼくは――君や誠のせいで……引きこもりになったといっても過言じゃないんだよ……君、前の世界にいた時――案外モテてたって……自覚してた?きっと――鈍い君の事だから自覚なんてしねないよね……ファンクラブがあったのなんて知らなかったでしょ?」
「――そ、そんなの……知らない……っ……」
急に神妙そうな表情を浮かべつつ引田から思いもしない事を尋ねられた僕は困惑しながらも小声でポツリと答える。すると、ふいに前の世界で学校に通っていた頃の――とある記憶が蘇える。
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『あ、あのーー小柳優太くんだよね?ぼく……隣のクラスの引田護っていうんだけど……その、どうしても君に伝えたい事があってーー好き、なんだ……君の事がーー』
『え、えっと……ご、ごめんなさいっ……少し急ぐから……っ……』
ーーそうだ……そうだった。
確か、あの時はーーすぐに行かなければいけない用事があって、それだけしか引田へと答えられなかった。
『あ、あのーー小柳優太くん?この間の返事をーー聞かせて欲しいんだけど……っ……』
『え、えっと……君は誰だったっけ?』
『ぼ、ぼく……この間、君に告白した引田護だよーーどうしても、君の気持ちをーー知りたくて……』
『ご、ごめんなさい……やっぱりーー覚えてないんだ。それに……僕にはずっと君以外に……好きな人がいるーーだから、君の気持ちには答えられない……』
『それ……まさか、木下誠ーーのこと?あんな奴、君には相応しくないっ……!!』
『や、やめてっ……!!』
ーーそうだった。
あの時、激昂しきった引田から強引に抱きしめられてキスされそうになったけれど周りの男の人達から助けられたんだった。
何で、今までずっと……忘れていたんだろうか!?
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「――やっと前の世界での、ぼくとのやり取りを思い出してくれた?まあ、今さら思い出した所で……もう遅いんだけどね?あの後、君の熱心なファンクラブの奴らから苛められてーー引きこもりになっちゃったんだよ」
「それからは……それからは毎日が地獄みたいだったよ。でも、ある時ーー旧校舎の鏡の噂を思い出して夜中の学校に忍び込んで試してみたんだ……その後は、この城の目の前に倒れていたってわけで……しかも、この城の持ち主だった奴から城自体を乗っ取っちゃったのさ……こんなにトントン拍子に進むなんて愉快で堪らないよ♪」
くつ、くつと笑みをもらしながらーー引田が僕の耳元で、これまでの経緯を囁きかけてくるのだけど、時々ーー僕の耳たぶを甘噛みしてくるのが腹立たしい。しかし、僕は耳たぶを甘噛みされる度にーー嫌悪感たっぷりの意思に反してビクン、ビクンと体を震わせてしまうのだから自分自身を情けないとさえ思ってしまうのだ。
「さて、と……ここまで話した所でーー次なる余興といこうか。ライムス……次は今のメイド服姿の優太くんに変身してくれ。そして、その姿ままーーぼくが、これからする行為の真似をして……いいね?」
「……っ……こ、今度は……一体、ナニをする気なの!?」
引田がニヤニヤと笑いながら次なる怪しげな命令を下している光景を見て、僕は真っ青になりながらガクガクと体を震わせてしまうのだった。
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