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~呪われた城下町にて⑤~ ※誠視点

そして、その一族達は自らが死を遂げた城内だけでなく――城下町にも強い怨みの呪いをかけたのだ。そのせいで、今は呪われた城下町やには生きている者は生活などしていないと金髪の男は言うのだ。 「俺は――その事件から命からがら生き延びた男の――いや、つまりはクロフォード家の遠い子孫にあたるんだ。命を奪われた一族達の呪いは――夜の間だけかけられる。そして、あの不愉快な鐘の音が――呪いのかけられる合図だという事も知っていた」 「だからこそ、昼間は城下町や周辺の監視をしていて夜は仲間がいる此処から離れた村で暮らしていた。呪われた城下町や城とはいえ――俺の末裔である一族が残した大事な物だからな。しかし、ある日……突然、アイツが現れた。そして、アイツは――俺に残された城や城下町を奪って行ったのだ……全く忌々しい男だ」 苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべながら、金髪の男は懐からある物を取り出すと――それを俺とミストへと見せてくる。それは、ダイイチキュウの学校にいた頃の制服を着ている――ある男の写真だ。 ――どことなく見覚えがあるように感じた。 「そして――この男が今……お前達の仲間を捕らえている。この男は――突然、空から降ってきて俺の日常を壊して滅茶苦茶にしたのだ。確か、名前は――」 「…………引田護。そう言っていなかったか?」 「ああ……ヒキタマモル――そう名乗っていたな。もしかして、貴様らと……知り合いなのか?」 金髪の男から見せられた写真をジッと見て、ふいに思い出した。引田はダイイチキュウの学校にいた頃、優太にストーカー紛いの行為をしていたと噂されていて、俺にとっては忌々しい男だ。 それを思い出した俺はいてもたってもいられず、心の中にモヤモヤした感情を抱きつつも金髪の男とミストと共に足早に【呪われた城】へと向かうのだった。

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