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呪われた城のホールにて②
「み、見てっ……マコト!!あんな所にユウタが倒れてる……早く助けなくちゃ……っ……」
「ゆ、優太……っ……!!」
「おい……迂闊に近付くんじゃないっ……!!」
急に城の外に繋がる扉が開けられたかと思った途端に――懐かしい声が聞こえてきた事に気付くと、体が動こかせないというピンチな状態にも関わらず心ではすっかり安堵してしまっていた。
誠達が既に暗くなりかけていて、視界さえままならない城の中へ急いで足を踏み入れ、慌てて倒れている僕の方へと駆け寄ってくる。
――ジャ、ジャラ……
――ジャララッ……
――――ガシャァァ―ン!!
しかし、僕の耳に鎖が引き下ろされるような音が聞こえてきたかと思うと?その直後に天井から、まるで大きな鉄の鳥かごのように大きくて四角い檻が落ちてきて――そのまま僕を助けようと駆け寄ってきた誠とミストを檻の中に閉じ込めて捕らえてしまうのだ。
「……やはりな。だから、迂闊に近づくな――と忠告したのだ。おい、いい加減隠れてないで出て来い……これも、貴様の仕業なのだろう?」
間一髪で檻の中へと捕らえられなかった金髪の男の人が怒りを必死で心の中に抑え込んでいるのか――低い氷のように冷たい声色で階段の方向へと鋭い目線を向けて言い放つ。
「……ちぇっ……よりにもよって一番厄介な奴を捕らえられなかったか。まあ、いいや……ぼくと優太くんの恋路に邪魔な木下誠を捕らえられたからね」
すると忌々しげに顔を歪ませながらも、余裕綽々といった様子で笑みを浮かべる引田がゆっくりとした足取りで城の中央に存在する大理石の階段を降りていくと、そのまま真っ直ぐに誠とミストを捕らえた檻の方へと歩いて行くのだった。
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