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思わぬ来訪者たち②
――ザッ……
――ザッ……ザッ……
――ピタッ……
「貴様のその忌々しい勝ち誇った顔を見るのも――今夜が最後だ。貴様が切り札として、この城の《さまよえる貴族の魂》を思い通りに操っているように……私にも切り札があるのだからな……」
「な、何なの……こいつら!?お前、一体……こいつらを何処から連れてきたんだ?」
尚も誰かが行進しているような足音は城内に響き渡っていたが、引田が驚いた表情を浮かべながら金髪の男の人へと尋ねるのと、ほぼ同時くらいに――その音はピタリと止まってしまった。
そして、《さまよえる貴族の魂》と同じように頭部が骸骨で冒険者の格好をしている青白い光を纏っいながら、城の階段付近をフヨフヨと漂っていたその《正体不明の謎の存在》が一斉に金髪の男の人の元へと集まっていく事に――ようやく僕は気付いたのだ。
「私が……とある場所の墓場から連れてきたのだ。まあ、予定外の事も色々とあったが……とにかく、私が連れてきたコイツらも――この呪われた城に執念深く居着いている《さまよえる貴族の魂》も――両方アンデッドだ……既に《さまよえる貴族の魂》は私が連れてきたコイツらに怯えているぞ?アンデッドとして格が高いのは――元々は戦闘力に長けたコイツらの方だからな」
金髪の男の人が余裕そうな笑みを浮かべながら引田へと淡々と落ち着き払った声色で言い放つ。
引田にとっても金髪の男の人が連れてきた冒険者の格好をしているアンデッドが、この呪われた城に来る事は流石に予想外の事だったらしく悔しそうな顔付きで金髪の男の人を一瞥してからジロリと鋭く睨み付けるのだった。
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