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思わぬ来訪者たち③

「ヒキタマモルよ……貴様が今すぐに、この城から出て行くというのなら――命だけは勘弁してやろう。私としては、この城と城下町さえ返してもらえばいい話しなのだからな。さあ、どうする?」 「金髪の君さ……ぼくに嫉妬するのもいい加減にしなよ?ぼくが、この呪われた城の新しい主に選ばれたって言ったでしょ?どうしても取り戻したいんなら――ぼくから奪い取るしかないよね~」 「……どうやら、城泥棒の貴様には何を言っても無駄なようだな。愚かな余所者め……死ぬ程に後悔するがいい」 金髪の男の人と城泥棒と呼ばれた引田が暫く不毛なやり取りをしていたが、ふいに引田を説得する事を諦めたせいか――金髪の男の人が軽く溜息をつきつつもミストと誠が閉じ込められている鳥かごのような檻へと堂々とした足取りで近付いていく。 「おい……《さまよえる冒険者の魂》よ――この檻に入り込み、このエルフか人間の――どちらかの奴に憑依して鍵を開けさせろ」 「……なっ…………し、しまった……!!」 ふいに金髪の男の人が周りに集まりフヨフヨと浮かんでいる《さまよえる冒険者の魂》と呼ばれるアンデッドへと命じる。すると、命じられた《さまよえる冒険者の魂》らは、その命令通りに誠とミストが捕らわれている檻へと真っ先に飛んでいくとスゥッと溶けるかのように柵の存在などお構い無しに檻の内側へと入り込むのだ。 そして、金髪の男の人の命令通り――ミストへと抱きつく素振りをする。それが憑依した、という事なのだろう。ミストはその後、どことなく虚ろな表情を浮かべて口元を動かして詠唱らしきものをすると、そのままボーッとしながら誠と共に檻の中から出てきた。ミストが口元を小さく動かした途端に、檻の柵がぐにゃぐにゃと歪んだのを見るに――何らかの魔法を憑依されている最中のミストが唱えたのだろう。 「あ、あれ……ミスト――今まで……何してたっけ……」 アンデッドに憑依されていたせいで、震えるような寒さに身を凍えさせていた魂を吸いとられそうになっていた事も――何らかの魔法を唱えて虚ろな表情のまま自分で檻から誠と共に脱出した事さえも覚えていないミストは不思議そうに首を傾げて困惑している。 「おい、優太……お前――大丈夫なのか!?」 誠はというと――檻の中から脱出すると慌ててグッタリとうつ伏せになりながら二人が無事に檻の外へ出られた光景を目の当たりにして安堵している僕の元へと急いで駆け寄ってくれたのだった。

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