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城泥棒に罰を②

「くっ……ううっ…………」 「風呂屋で出会った時は――いけ好かない奴だと思っていたが、貴様もなかなかやるではないか。それほど、あのドンクサイ奴の事が題字というわけか。よし、いいぞ……このまま城泥棒の首を絞め上げろ――ただし、命は奪わない程度にだ……私の美学に――反するからな」 操られてしまった誠がじわ、じわと時間をかけて抵抗する気力もなくグッタリとしている引田の首を絞め上げていく。本来ならば、すぐにでも苦しそうに呻き声をあげている引田の方へと駆け寄りたいのに体が思うように動かせないのが――とても、もどかしい。 ――コンッ…… ――コンッ……コン…… すると、操られてる誠から首をギリギリと絞め上げられ――尚も苦しそうに呻いている引田の手から何かが床に落ちる。そして、それはコロコロと床を転がっていき、僕のすぐ側でピタリと止まった。 「げ……どく……や……くを……のん……で……っ……」 「ひ、引田……っ…………!?」 小さな声だったが、確かに苦しげに呻き声をあげ続けている引田が僕に涙ぐみつつ目だけを僕の方へと向けて必死に訴えかけてくるのだ。僕の方に転がり落ちてきた物を体がロクに動かせないせいでその目だけを頼りに確認してみると、それは何か透明な液体が入っている小瓶だと分かる。 「おっと……そうは、させない。大方、このドンクサイ奴に解毒薬を飲ませ、体の自由を取り戻させた後――この、いけ好かない奴を正気に戻させようとしたのだろう?城泥棒よ――貴様の負けだ……残念だったな」 すると、引田の思惑むなしく――それに気付いた金髪の男の人がすぐに僕の方へと歩み寄ってきて勝ち誇ったように満足そうな笑みを浮かべながら、おそらく解毒薬が入っている小瓶を拾い上げる。 ――ドンッ!! すると、突然――金髪の男の人が背後から誰かに体当たりされ、よろめいた。そのせいで、解毒薬の入っている小瓶が再び床へと落ちる。 「……サン、そのいけ好かない金髪野郎が変な気を起こさないように押さえつけとけ!!マコトの恋人くんは……俺様が何とかする!!」 「ナギ……貴様が私に偉そうに命令するな――まあ、それはいい。マコトの恋人とやらは……貴様に任せたぞ」 そう言いながら、今まで引田によって檻の中に捕らえられていたナギとサンが颯爽に現れ、サンはといえば――勢いよく金髪の男の人の背後から体当たりをすると、そのまま彼を床へと押さえ付けてしまう。 そして、ナギはというと――再び床へと転がり落ちた解毒薬入りの小瓶を拾い上げると、少しだけ何かを考えるような素振りをしてから――何を思ったのか小瓶の蓋を開けると解毒薬をグイッと口に含み――、 そのまま――僕に口移しで解毒薬を飲ませるのだった。

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