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城泥棒に罰を③

「んっ…………んむっ……!?」 「――ったく……本来なら、こんなのはマコトの役割だっての……!!ほ~ら――案の定、怒りに支配されてる獣みてえなマコトのお出ましだぜ……って……ぐっ……ううっ……!!?」 ナギが半ば強引に僕へと口移しで解毒薬を飲ませたせいで、少し開きかけている口の端から中身が零れてしまったものの――何とか飲み干した。 そして、文句ありげな表情を浮かべていたナギだったが――急に引田の首を絞め上げているのを止めた誠が素早くナギの元へと駆け寄ってくると、怒りで顔を歪めながら今度はナギの首根っこを掴む。 そして、そのまま――先程と同じようにギリギリと徐々に絞め上げ始めてしまう。 その隙に操られたままのミストがグッタリと横たわっている引田の体を魔法で浮かびあがらせ、そのままの状態で彼を――かつて、この城の王族の一人だった【黒髪の青年の絵画】が掛けられている場所へと誘導すると叩きつけんばかりの凄まじい勢いで引田の体を青年の絵画の上から磔にしてしまう。 一方、ナギが強引なやり方とはいえ――結果的には解毒薬を飲ませてくれたおかげで、ようやく体を動かせるようになり、金髪の男の人から操られている誠によって首を絞め上げられているナギと、操られているせいで正気を失ってしまい、同時に嫉妬という負の感情がコントロールを失い獲物を狙う獣のように凶暴化してしまっている愛しい誠を救うべく――僕は急いで立ち上がるのだった。

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