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呪われた城の地下へ②

※ ※ ※ ※ 「ううっ……暗いし、寒いし……不気味な棺ばっかり――。早く、その黒髪の青年の棺とやらを見つけて早く此処から出たいよ……」 「……金髪の野郎が言うには、黒髪の狂人とやらの棺には――アネモネとかいう花が置かれているんだったな……ったく、ミストじゃねえが――俺様もこんな辛気くせえ所からとっとと出たいから――早く探しちまおうぜ?」 珍しく気弱なミストの言う通り、確かに地下は古ぼけた棺ばかりが乱雑に置かれていて――更に凍えてしまいそうになるほどに寒くてヒンヤリとしている。僕としても、この場には――あまり長居したくはないというのが本音だ。 ふいに、一番先頭を歩いていたサンがピタリと足を止める。サンが指差した棺の上には何故かまだ枯れていない赤いアネモネの花か置かれている。 「おい、この棺じゃないのか?確か――この赤い花はアネモネという種類の筈だが……正直、あまり自信はない。だが、棺を開けてみれば分かる筈だ――その黒髪の青年とやらは黄冠を被ったまま死に絶えたと金髪の男が言っていたからな。よし、皆で協力して……棺を開けるぞ」 ――その後、僕らは皆で協力し合うと……おそるおそる棺の蓋を開ける。 すると、その棺の中に――金髪の男の人が言っていたようにきらびやかな王冠を被った白骨遺体が納められている。しかも、所々に――その黒髪の青年のものであろう黒髪が散らばっているのだ。 更に注意深くーーまるで何かに憑かれてしまったかのようにマジマジと棺の中の様子を見つめている僕はある異常な光景を目の当たりにする。 ーー黒髪の青年の白骨遺体の周りをびっしりと取り囲み、埋め尽くしてしまうほどの大量の蛇の死体が共に棺の中に納められているのだ。 「……ひ、ひゃっ…………ど、どうして……蛇なんかがっ……!?」 「おい、そんな事より……さっさとオルゴールを棺の中に入れようぜ?それを入れりゃ……城と城下町の呪いは――解けるんだろ?」 蛇が死ぬほど苦手な僕は情けない事に――白骨遺体を埋め尽くしてしまうくらいの大量な蛇の死体を目の当たりにして、思わず悲鳴をあげて床にしりもちをつきそうになってしまうのだが――咄嗟に側にいる誠が僕を支えてくれた。 ――すると、 「~♪♪~♪♪♪♪~♪~……」 急にオルゴールの哀しげな旋律が辺りに流れてビクッと体を震わせてしまう。それは、皆も同じようで当然音が鳴ったオルゴールを怯えながら見つめるのだった。 そして、ふいに――僕は気付いてしまった。 つい先程までは、いなかった筈なのにオルゴールを切なげな表情を浮かべながら見つめている水色のドレスを着た女の子がいる事に――。 僕がジッと見つめている事に気付いた水色のドレスを着た女の子が指差した場所に古ぼけてボロボロのノートが落ちているという事に――。

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