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リリーの願い①
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「おい、おい……優太――お前……大丈夫か?」
「……ま、まこと……誠…………!?」
僕がハッ……と我にかえり、真っ先に目に飛び込んできたのは心配そうに僕の顔を覗きつつ尋ねてくる大好きな誠の姿だった。
「ぼ、僕は……僕は大丈夫だよ――それより、皆に聞いて欲しい事があるんだ!!」
そして、僕は今まで【リリーという女の子】として見てきた――かつての城の真実の光景と、呪われるきっかけとなってしまった【戴冠式での出来事】の事を仲間の皆へと話す。
――僕が【リリーという水色のドレスを着た女の子】の幽霊が見えること。そして、【リリー】な姿として僕自身が、かつての呪われた城で起きた呪いのきっかけとなる出来事を実際に体験してきたこと。
――城のホールに飾られている絵画の中に描かれてある黒髪の青年の名はリアムといい、噂では火を放った狂人として認知されていること。
――リアムは妹のリリーを心から愛していたこと。
――王であった実の父親から、リアムは歪んだ愛情を抱かれていたということ。そして、その反面……リアムは王としての才覚が父親よりもある事や執事と恋仲になる事に対して父から一方的に嫉妬されて――自慢のコレクションであるヘビを使って嫌がらせされていたということ。
――次第に正気すら失っていき、狂ったかつての王である父親の手によってヘビの毒を仕込まれ【戴冠式】のパーティーに招待された貴族や使用人達――愛する家族もろとも殺されて命を奪われてしまったこと。
――病に伏せって弱ったフリをしていた実の父親の手により首を絞められて【リリー】は理不尽に命を奪われてしまったこと。
――【呪われた城】についての噂が間違った形で周囲の人々の間で広まってしまっていること。
――おそらく【城の呪い】はまだ完全には解かれていないということ。
僕が【リリーという女の子】として見てきた事の全てを話し終えた時、仲間の皆の顔が――徐々に曇っていくのに気付いた。
「……つまり、まだ我々はこの城の呪いによって――捕らわれてしまっているということか。」おい、ゴーストの娘よ……おそらく、そこらにいるのだろう?お前は――この城の呪いを完全に解く方法を知っているのか?」
ふいに、深いため息をついてから――サンが僕のすぐ側にいる幽体の【リリー】へと尋ねるのだった。
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