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城のホールでの異変②

「な、何だよっ……今の――やかましい悲鳴は!?」 「どうやら……余所者の城泥棒とやらのニンゲンが……目を覚ましたみたいだけど……それにしたって――何か様子が変だよね?」 「おい――ゴーストの娘は、まだそこにいるのか!?先程のお前の様子は――明らかに動揺しきっていた……まさか、ゴーストの娘の姿が消えたのではあるまいな?」 ナギとミストが城のホールから聞こえてきた引田の凄まじい叫び声を気にしている半面、サンはどことなく焦ったような表情を浮かべつつ尚も眉間に皺を寄せながら僕へと尋ねてくる。そして、僕は――幽体で先程までは浮かんでいた筈のリリーの姿が、まるで風に吹かれて一瞬で消える蝋燭の炎のように――ふっ……と消えてしまった事を告げるのだ。 「やはり……そうだったのか。それならば、もう此処にいる必要はないだろうさっさとこの地下からホールへと戻るぞ。それに、ナギやミストじゃないが――私とて磔にされたニンゲンがどうなったのか……気になるからな――」 「は、はいっ……!!」 サンから、ビシッと言われた僕らは足早にホールへと戻るのだった。 ※ ※ ※ ――そして、地下からホールへと戻ってから目の当たりにした光景に僕らは思わず息を飲んでしまう。 ――金髪の男の人の体をギリギリと締め付ける巨大な黒い大蛇がいつの間にか其処にいたのだ。 息を飲んでしまった理由は――地下から一目散に戻ってきた僕らに気付いた巨大な黒い大蛇からギロリと暗闇に光る血のように真っ赤な瞳で鋭い睨み付けられたからだった。

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