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デュラハン・スライム②

「これは、ミストの推測だけど……もしかしたら――さっきユウタが言っていたリアムっていうニンゲンだったゴーストの怨念が……ライムスとかいうスライムに憑依したんじゃないのかな?」 「でも、どうして……あの金髪のニンゲンが襲われるのか――ミストにはそこがよく分からないや……」 ミストが困惑したような表情を浮かべながら、ポツリ――と自分の考えを呟いた。 「――仮にミストの言う通りだとすると……ライムスとやらは引田の奴を傷付けた金髪の男が――許せないのかもしれない。かつて、リアムという青年が愛する者や最愛なる妹達の命を理不尽に奪った父親を――許せないようにな……」 ふと、ずっと傍らにいたものの――今まで無言だった誠がどことなく心苦しげな声色でポツリと呟いてくる。 僕は誠が心苦しげに呟いた言葉を聞いた途端に――何故だか物凄くリアムという黒髪の今は亡き青年に対して憐れみの感情を抱いてしまった。その憐れみの感情は、リアムという黒髪の青年の実の父親により己の命だけでなく、家族や大切な人々の命を理不尽に奪われてしまったという悲しい過去の話を聞いてしまったから、というだけでは到底説明しようがない程に――どんどんと僕の心が支配されてしまっていくのだ。 そのせいなのかは定かではないけれど、僕は自分の意思に反して――リアムという黒髪の青年の怨念に憑依されてしまっているであろうライムスを――いつの間にやらジッとひたすらに見つめてしまうのだ。 「リ――リアム……様……あの戴冠式の時――御守り出来ず……申し訳……ありません……わたくしは……いつでも……貴方様の側に……愛して……おります……ずっと……永遠にーー」 「ユウタ……ユウタ……っ……!?急に、どうしちゃったの……あのリアムとかいうゴーストのに……同情しちゃったらダメだよ!?ユウタまでーーライムスみたいに憑依されちゃう!!」 目から涙をポロポロと流しながら、尚も自分の意思に反して――ブツブツと意味不明な言葉を呟き続ける僕。そして、それだけでなく――遂にはライムスに憑依したリアムという黒髪の青年の怨念が変化した異様な存在の方へとフラフラした足取りで近付いて行く。 そして、そんな状態である僕を――真っ先ち異変に気付いたミストが必死で止めようとしてくれるのだが――それちすら気付けない程に今の僕は正気を失ってしまっているのだった。

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