「β Ψ Й Ψ Ψ Ω Φ Φ π β Й」 【さまよえる貴族の魂】の結合体である巨大な黒いヘビの口から黒炎を吐かれ、しかも周りを取り囲まれてしまったため困惑していた僕らだったが――そうして呆然としているばかりでは道は開かれないといわんばかりにミストが杖を構えて詠唱をし始める。 すると、ミストの持つ杖の先から勢いよく風が吹き――おそらくは一時的とはいえ僕らの周りを取り囲んでいた黒炎の一方向にだけミストの風魔法のおかげで細い逃げ道が出来るのだ。 ――ミストが魔法で作ってくれた道の先にあるのは、先程みんなと一緒に行った城の地下へと続く石造りの階段だ。 「ユウタ……マコト……ここはミスト達に任せて――二人で城の呪いを完全に解くための方法を地下で探して！！それに、オルゴールも……と、とにかく……早く地下へ行くんだ！！」 「……っ…………優太――ミスト達を信じて……俺達は地下へ行くぞ。早く行かないと……ミストの決死の覚悟が――無駄になってしまう……っ……」 「わ……分かった……ミスト、それにナギ……サン……みんな無事で――この城から出よう！だから、ここのことは……お願い！！」 ミストが必死な様子で僕と誠へと叫んだため、ハッ……と我にかえった僕は真剣な表情を浮かべている誠にグイッと手を引かれ、ミストが決死の覚悟で作ってくれた細い逃げ道を急いで走り抜けると――そのまま無我夢中で誠と共に再び地下へと続く石造りの階段へと向かって行くのだった。