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ミスト達の闘い② ※ミスト視点
「ミストの仲間であるナギとサンを檻の中に閉じ込めて――ユウタにまで酷い事をして、しかも元々は金髪のニンゲンから城と城下町を強引に奪い取るような……そんな卑怯なヒキタの物になるなんて――ミストは絶対にご免だよ」
「……っ…………!?」
ミストが言い放った言葉を聞いて、ようやく――今まで己がしてきた事に対して後ろめたく思ったからなのか未だに絵画へ磔にされたままの引田が口調は厳しいものの正論を放つミストの姿をジッと見つめながらショックを受けたように項垂れる。
【そウか……なラバ、ご主人様ノ願いヲ……受け入レない貴様ヲ……こノまま……絞め殺シてヤる!!】
「やっ……やめろ……ライムス……そのエルフを傷つけるな!!そんな事、ぼくは――望んでいない!!」
徐々にミストの体を絞め付けているヌメヌメした触手の力が強くなっていき、苦しそうな表情を浮かべていたミストだったが――急に先程の己の声に負けないくらいの凄まじい大声で引田が叫んだため驚いてしまう。
【くっ……この……止せっ……我に――逆らおうとするなっ……無能な……スライムごときが!!】
引田が命令した途端に【リアムという青年の怨念】に憑依されてしまっているライムスが元の姿に戻ろうと――中でもがいているらしくデュラハンの姿をした【リアムという青年の怨念】が忌々しげに言い放つ。
そして、ライムスが元のスライムの姿へと戻るために抵抗している事に対して途徹もない怒りを抱いたのか、デュラハンの姿をした【リアムという青年の怨念】は左手でミストの体に巻き付いたたまま、空中へ向けてゆっくりと上へ、上へと引き上げていく。
そして、ウネウネと蠢く触手の何本かがミストの細長い首へと巻き付くために向かっていった時――、
――ビュッ……!!
何本かの触手がミストの首に巻き付こうとする前に、なんとか自力で磔から逃れられた引田が床に打ち付けられ――その痛みに耐えながらも、懐に隠し持っていたナイフをミストの首に巻き付こうとしていた触手に向かって渾身の力で投げる。
そのナイフは――ミストの首をかすめ、少し血が出てしまったものの見事にウネウネと蠢き続けていた触手へと命中したのだ。
「くっ……今の――今の……ぼくなら……大丈夫だっ……」
「…………っ……!?」
引田は自分を納得させるかのように叫ぶと、力を振り絞り――触手がぐんぐんと伸びたせいで天井付近にまで絞め上げられていたせいで勢いよく空中から床へとまっ逆さまに落ちそウになっているミストを救うために無我夢中で駆けて行く。
――ドサッ……
間一髪という所で――引田は磔にされてしまっていたせいで傷付いて血まみれになっている両腕の痛みに耐えつつ顔を苦痛で歪めながらも、大理石の床に叩きつけられそうになってしまっていたミストの体を必死で抱き止めるのだった。
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