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ミスト達の闘い③ ※ミスト視点

「だ、大丈夫……だった!?ああ、君の服が――ぼくの血で汚れちゃった……ごめん――」 「そ、そんな些細なこと……ミストは気にしてないし――でも、あ……ありがとう……っ……」 ふいに、ミストを抱き止めた引田がこのような緊迫した状況にも関わらず呑気な言葉を言ったため――呆れたような表情を浮かべてしまうが一応は助けて貰ったため少しぶっきらぼうにソッポを向きつつミストは引田へと礼を言うのだ。 ――しかし、 「おい、マコトとユウタだけじゃなく――てめえらまでイチャイチャしてんじゃねえよ……また、次の攻撃が来るぞっ!!」 「城泥棒のヒキタよ――きさまが狙われているぞっ……!!」 ミストと引田がやり取りをしている間――【さまよえる貴族の魂】の結合体である巨大なヘビと【リアムという青年の怨念】に憑依されているデュラハンの姿をしたライムスを狙ってナギとサンが不毛ともいえる物理攻撃を熱心に仕掛けていたが――ふいに、二人がミストと引田へと忠告してくる。 「ヨクも……我ニ刃向かったナ……次ハ……きさまダ!!」 「うっ……くっ……!?」 今まではミストを左手の触手で捕らえて締め付ける攻撃を仕掛けていた【リアムという青年の怨念】が憑依しているデュラハンだったのだが、引田によりナイフで攻撃された事が余程怒りの琴線に触れたせいか今度は標的をミストから引田へと変え――、 「これデモ……くラえっ……!!」 左手をウネウネと蠢き続ける触手から、先程――引田が投げたようなナイフと瓜二つの形へと変形させたかと思うと素早く呆然としてある引田の後ろへと移動し――そのまま、左手で彼の体を勢いよく貫こうとする。 「ЙЙΚβΦΨΩΩΘΘΚβЙЙΨ」 その事態に、いち早く気付いたミストは引田を守るために咄嗟に杖を構えると、敵であるライムスに憑依したままほとんど乗っ取りつつある【リアムという青年の怨念】に向かって水の魔法を唱えるのだった。

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