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いざ、村の市場へ①
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「あ、あれ……レアムっていう男の人が言っていた村――じゃない!?引田……村の入り口は……此所で間違いない?」
「う、うん……そう――そうだよ。確かに、この看板に見覚えがあるから此所で間違いないよ。でも、何か……様子がおかしいな。ぼくが前に来た時には――もっと賑わってて、生活している奴も大勢いたのに今は人の気配すら感じられないなんて……っ……」
僕ら一行がレアムに言われた通りに南へと、ひたすら歩みを進めて行くと――古ぼけた看板が村の入り口らしき場所にポツンと立っていたため、以前に白い花の手掛かりとなるであろうスーツ姿の男に出会った事のある引田へと確認してみる。
すると、引田は朧気にしか覚えていないのか――う~ん、と頭を捻るような素振りをしながらも僕が尋ねて少し経ってから答えてくれるのだった。
その後、一抹の不安を抱きつつも村へと一歩踏み出した僕らだったが、すぐに村に対する違和感に気付く。確かに、人の気配が――全くといっていいほどに感じられないのだ。
ふと、周りにある建物を見てみるとカーテン越しに誰かが此方を怯えるようにして様子を伺っているのが分かる。しかし、その様子を伺っている誰かとチラッと目が合っただけで――すぐに目線を逸らされてしまい、しかも何処かへとそそくさと去って行ってしまうのだ。
「おい……キサマら――そこを動くな!!抵抗した時点で……この銃の引き金を引く。体が穴だらけになりたくなければ――そのまま動かぬ事だ」
急に後ろから怒りに満ちた低い声が聞こえてきたかと思うと、僕の背中にゴリッと固い物が突き付けられた事に気付く。その低い声が冷たく言い放った内容から察するに背中に突き付けられたのは銃口だという事も何となく理解した。
「…………そのまま抵抗せず、我輩についてこい。言っておくが……仲間の誰かが我輩に攻撃し、その隙に逃げようとしても――無駄だ。此方にも――キサマらと同じように仲間がいるからな。とにかくだ――大人しく此方へついてこい……」
まさに、ミストが――怒りに満ちた低い声で言い放ってきた謎の存在に対して何らかの攻撃魔法を放とうとしていた途端に此方の考えなどお見通しだといわんばかりに鋭い声で釘を刺されてしまう。
――そして、僕らは銃を構えて此方を警戒している謎の存在も言うとおり、抵抗するそぶりさえ出来ずに不本意ながらも――そのまま謎の存在の後に大人しくついてゆくしかないのだった。
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