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アラクネの逆襲②

「お、おいっ……蜘蛛女――てめえ……騙しやがったな!?くそっ……俺様を離しやがれ……っ……」 「え~……それはダメッ……そんな事をしたら、あたしがリッくんに怒られちゃうわっ……それじゃあ、エルフのお兄さんっ――あたしと一緒にリッくんの愛の巣へ行きましょっ!!あ、他のお仲間達は~……あたしの美貌に魅了されて操られちゃったワーウルフの群れ退治――頑張ってね♪」 アラクネが捕らえられていた網の隙間から飛び出した糸により、グルグル巻きにされてしまって拘束されたナギが怒りに満ちた表情を浮かべながら悔しそうに叫ぶ声が辺りに響き渡る。 そんなナギを余裕そうな表情を浮かべつつ楽しげに見つめていたアラクネだったが、つい先ほどまでは切なそうな声で網の中で喚いていたというのに――ナギを自分の糸でグルグル巻きに拘束した後で、いとも簡単に網の中から出て来れた事に対して僕らは驚きを隠せない。 「ん~……自分で言うのもなんだけど、やっぱり――あたしの糸って最強ねっ!!だって、これだけの強度の網を作れちゃうんだものっ……バカなワーウルフな集団は、あたしが作った網とも知らずに中でもがいてた――あたしを助けるために近づいて、まんまと魅了されて操られてくれたし……やっぱり、リッくん以外の男って単純なんだわっ……」 ――バサッ…… ――パサッ……バサ……ッ…… アラクネが自分で繰り出した糸について自画自賛していた時、少し遠くの方から――何かが空を優雅に飛んでいるような翼の音が聞こえてくる。 既に、辺りは暗く――月明かりがボンヤリと辺りを照らしているような状況のため、目を凝らして見ても――何が空を飛んでいるのか明確には分からないのけれど少なくともソレが僕らが今いる場所に向かって物凄い速さで飛んで来ている事は何となく分かる。 そして、アラクネの糸によって全身をグルグル巻きに拘束されてしまっているナギとスーツ姿の男の命令という名の願いを叶える事が出来て満足そうに高笑いするアラクネだけが――少し遠くの方から飛んできた何かへ捕まえられてしまい――そのまま仄かに月光が照らしている暗い暗い夜空へと溶け込むかのように消え去って行くのだった。

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