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村は操られたワーウルフの群れだらけ②

※ ※ ※ 「おい……どうするんだ!?ワーウルフのヤツラから逃れられたものの、辺りは――朽ち果てた建物ばかりで……とてもじゃないが安全とは言いきれない。このままじゃ、すぐに獣化しているヤツラに追い付かれてしまうぞ――」 「確かにサンが言うとおり……人型の時よりも獣化したワーウルフの方が素早さが増すんだ。だから、このままだと完全に追い付かれちゃう……しかも、あの数だし……こうなったら少しでも崩壊の程度がマシな建物を探して――そこに隠れるしかないと思う……」 僕らは獣化して凶暴になってしまっているワーウルフの群れ達を撒くために必死で思ったよりも広い村中を必死で走っていた。 確かにサンやミストが言うように荒廃している村の中には、崩壊してボロボロに崩れ落ちている建物が多く――完全に崩壊しきっていない建物も多少はあるけれども、そこには侵入者である僕ら一行を快く思ってはいない村の人々が隠れるようにして住んでいるため――とてもじゃないが、僕らが完全に崩壊している訳ではない安全な建物の中へと身を隠す事を引き受けてくれそうな気配すらないのだ。 ふいに――途方に暮れている僕の目に、ある物が飛び込んできた。 ――それは古そうな井戸だ。 おそらく、かつてこの村が栄えていた時に住人が使っていた物だろう。かつては、きちんと村の住人たちが手入れをしていたのかもしれないが、今――僕の目に飛び込んできた井戸は周りには雑草が生い茂っていて――とてもじゃないが手入れされているとは到底思えない。 「優太……っ……何処に行くんだ!?」 「急に立ち止まると……危ないよっ……ユウタ!?」 「まったく……フラフラと……まるで鎖につながりていない犬のようなヤツだな……いや、待てよ……なるほど、井戸か――」 僕が朽ち果てかけている古井戸の方へと走っていったため誠とミストが驚きの表情を浮かべながら駆け寄ってきた。しかし、サンだけは冷静に僕が井戸の中の方へと覗き込むように観察するのをジッと見つめていた。どうやら、サンは僕がこれから何をしようとしているのかという意図を汲み取ってくれているようだ。 「やっぱり……少しは中に水が残っているけれど……溺れるような深さじゃない。僕らが入れる程の広さもありそうだし……隠れるには調度いいよ――みんな、ここに……隠れ……っ……」 ――グルル……グル…… ――ウー……ガルルッ…… 僕らの匂いを、その獣化したせいで敏感になった鼻を駆使して追いかけてきたのか――すぐ近くでアラクネによって操られてしまったワーウルフの群れの怒りと獲物を狙う興奮に満ちた唸り声が聞こえてきた。 ――ドサッ……!! すると、ワーウルフの群れの何匹かが口に咥えていたナニかを――無造作に地面へと放り投げる。土埃にまみれ、そのナニかの正体を掴むのに中々時間がかかってしまう。 (あれは――ガルフさんっ……!?何で、獣化して凶暴化した筈の――彼まで怪我をっ……まさか逃げ続ける僕らを――部下達から庇ってくれたのか……っ……) ワーウルフの群れの凶暴な唸り声が聞こえた後、幻想的な満月の光に包まれ――所々、噛たれた傷や引っ掻き傷が出来たせいで血まみれとなり――先程まで部下達のように凶暴化していたとは思えないくらいにグッタリとしていて既に戦意を消失しているのが明らかなガルフの姿が呆然としている僕ら一行の目に飛び込んでくるのだ。 おそらく、何らかの理由で獣化したせいで凶暴化してしまった状態から本来のガルフさんへと戻り――凶暴化したままの己の部下から僕らを守ろうとしてくれていたのだろう。しかし、圧倒的に多いワーウルフの群れの前には為す術なく襲われてしまったのだ。 よくよく見てみれば、ガルフさんはワーウルフの群れの部下達とは違って、彼らよりも一回り体が大きいし毛並みも比べ物にならないくらいに艶やかで立派なのが分かる。しかし、今は――そんな貫禄さえもなくなってしまう程に全身が血だらけになり肩でハアハアと荒く息をしながら苦しげな表情を浮かべている。 (こんなに――苦しがってる優しいガルフさんを……見捨てるなんて出来ないよ……一緒に井戸の中に隠れなきゃ……) 心の中で固く決意した僕は、仲間である皆の了承と協力を得て、なんとか弱りきってグッタリと脱力しているガルフさんの体を慎重に支えながら抱えると、そのままサンを筆頭にワーウルフの群れに気付かれないように注意しつつも井戸の中へ続々と隠れるのだった。

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