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いざ、作戦決行へ②

―――――――――――――――――――――――――― 「ど、どうなった――のかな?ちょっと井戸の外に出てみよう。まだ……何か起こるかもしれないから慎重にね」 おそるおそる目を開けた僕は、ミストの気絶魔法の眩い黄金色の光が消えてから暫く経ったにも関わらず未だに井戸の外がシーンと静まりかえっている事に対して不安を感じながらも――井戸の中に隠れて身を寄せ合っている仲間達へと提案してみる。 すると、僕と同じように不安げな表情を浮かべながらも――誠や引田、ライムス……それにミストもコクリと遠慮がちにとはいえ頷いてくれるのだ。 その後――もしかしたら、未だに井戸の辺りをウロウロと徘徊している可能性もあり得るアラクネに操られたワーウルフの存在に皆が皆――心の中で恐怖と不安を感じつつも井戸の中に身を隠していた僕らは一人一人順番に慎重な様子で井戸の外へと出て行くのだった。 「サ、サン――それに、ガルフさんっ……!?」 「す……すごい血――多分、サンは少し休めば大丈夫だと思うけど……ガルフさんのこの状態はちょっと……いや、かなりマズイかも。そうかといって……ミストの回復魔法は……魔力を温存中だから今は使えないしっ……」 井戸の中から外へと出た僕らの目に飛び込んできたのは!ミストの気絶魔法を直視した事により倒れているガルフの部下であるワーウルフの群れが一様に気絶してしまっている姿や、その近くで弓を構えたまま地面に這いつくばるかのように伏せているサンの姿――それと、またしてもアラクネに操られたワーウルフの群れによって傷付けられたせいか――おびただしい量の血を体から流して肩で荒く息をして地面にグッタリと倒れているガルフの姿だった。 ――慌てて彼らの元へと駆け寄る僕ら。 地面に倒れている彼らの中でも特に大量の血を流して肩を揺らしつつ荒い息をしているガルフさんの悲痛な姿を見てしまうと、真っ青になりながら余りの不安から思わず涙ぐみそうになってしまう僕。 「あ~……もう、仕方がないなぁ。ほら、優太くん……これ――その狼人間に食べさせてあげなよ。まったく――ぼくが、いざというときの為に買って……大切に取っておいたのに……っ……」 「えっ…………!?」 すると、ふいにミストの横にいて今まで無言だった引田が動揺し慌てている僕らをチラッと一瞥してから盛大な溜め息をついた後で懐から何か丸い物を取り出して僕の手にギュッと握らせてから、ぶっきらぼうな様子で言い放ってきたのだ。 「えっとね……何だったかな――確か、魔薬ドロップとかって言ってたような気がするけど……とにかく、それを食べると命に関わる致命傷や毒とか麻痺とかじゃない限り、少しは傷とか体調の回復が出来るって村市場の店主が言ってた。まあ、皮肉な事に――その店主ってのが……これから僕らの敵になるだろうスーツ姿の男――なんだけどさ~……」 「ありがとうっ……ありがとう――引田!!」 どことなく、おちゃらけた調子でペラペラと話し続けていた引田へと――思わず僕は勢いよくギュッと抱き付いてしまう。無論、それは決して変な意味からではなく――純粋に引田へと感謝しているからなのだった。

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