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ようこそ、【死と始まりの塔】へ②

※ ※ ※ 「こ、ここが――死と始まりの塔!!?」 夜になるまでには着きたいと思い、その目標は達成出来たとはいえ――少し辺りが暗くなり始めて夕日に照らされている【死と始まりの塔】は――何となく異質な雰囲気を醸し出している。 周りは木や草で生い茂っていて鳥の囁きが心地よく聞こえてくる程に静かで穏やかな場所にも関わらず、まるで――わざと存在をアピールするかのように――その【死と始まりの塔】はそびえ立っているのだ。 「これは――童話に出てくる……ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のようだ。まるで、わざと……俺らに見つけてくれと言わんばかりの派手な見た目だ……」 「いや……おかしい。少し前までは……こんなに派手な見た目ではなかった。あのテンセイシャである男は――わざと塔の見た目を派手なものに変えて我が輩達を挑発しているに違いない……っ……」 誠が見た目によらず乙女ちっくな事を言ったかと思うと、ガルフさんが悔しげな表情を浮かべてから、目の前にそびえ立っている派手な見た目の死と始まりの塔をギロッと睨み付けつつ憎らしげに言い放った。 「と、とりあえず……ここで、こうしていても仕方がないし――中に……入ろうよ?」 ――ギギ……ギィィ~…… 僕は【死と始まりの塔】の中へと入るために、とりあえず扉にゆっくりと近づいてみてから蜘蛛の巣がはってあるドアノブへ手をかけようとした。 すると、その直後に――僕ら一行を待っていましたといわんばかりに唐突に扉が自動で開いていくのだった。

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