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泥人形との戦い⑤

誠は急に豹変してしまった攻撃により――浅めだとはいえ頬に傷を負ってしまった。 唐突に引田が――まるで別人になってしまったかのように豹変し誠に敵意を剥き出しにしている原因を早く突き止めなくては――。 ――キラッ…… (ん……っ……あれは――何だろう……!?) 誠から攻撃を弾かれ、部屋の中に散乱して乱雑に積み重なっているボロボロの人形(誰かが捨てたまま放置されたものだろう)の山がある場所の、すぐ側に倒れてしまう。 そのまま――フラフラになりながらも起き上がろうとしていた様子を、僕が不安げに見つめた時――引田の左手首付近から何か光る物があるという事に気付いた。 不思議な事に――僕らを取り囲んでいる複数の小ゴーレム自体は攻撃してくるような素振りは見せず、ジッとその場に佇んでいるのだが――今はそれすらも逆に不気味とさえ思う。もしかしたら、取り囲まれている僕らのうちの誰か一人が一歩でも動いてしまった途端に一斉に攻撃を仕掛けてくる場合もあるかもしれないのだ。 そうなれば、取り囲まれている僕らに襲いかかってくるのは――仲間共々、破滅してしまうという事実のみだ。 だが、そうはいっても――このまま一歩も動かない訳にはいかないとハッと我にかえった。 (確かに……僕らが動いた途端に攻撃してくる事も――無きにしもあらず……だけど、そんな事を言ってたら誠も引田も――救えない……とにかく、引田がああなってしまった原因を探さなくちゃっ……) 一瞬、意識が引田の左手で光っている何か得たいの知れない物から――僕らの周りを取り囲んでいるが攻撃してこようとしない数体の小ゴーレムの事に逸れてしまっていた僕だったがハッと我にかえった後は慌てて互いに重なり合い積み重ねられている人形の山の方へと出来る限りのスピードで走って行くのだった。

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