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操り人形との戦い②

「操り主さま……ご……命令を……ご命令を……ご命令を――」 「ひ、引田っ……引田……お願いっ……元の引田に……戻ってよっ……そんな事をして――ミストとライムスが悲しむよ……もちろん、僕だって悲しい……っ……」 引田は尚もボーッとその場に佇んだまま、僕か今の正気ではない引田に対する切なる思いを叫ぶ。だけど、そんな僕の気持ちなどお構い無しといわんばかりに魂が抜けたかのように無表情で同じ言葉を呟き続けている。顔の部分以外が木で出来ていて――顔は日本の市松人形のような容貌をしているこの【操り主】とやらがキラリと光る白い糸を使って何らかの方法により引田を操っているのだ。 (――ということは……操られているゴーレムや今の引田を直接的に攻撃するよりも……この操り主である日本人形を攻撃した方がいいのかも――でも、どうやって……っ……) 「ユウタ…………また、何か攻撃が来そうだよっ……早く――そのヒキタみたいなヤツから逃げてっ……とにかく、距離を取って……!!」 「……うっ…………!!?」 僕がこれからの対処法について心の中で悶々と考え込んでいると、その隙に――急に【操り主】とやらが操られたせいで放心状態となっている今の引田へと何事かを命令したのか――いつの間にか虚ろな表情を僕へと向けている引田によって首に手をかけられると――そのまま、ギリギリと締め付けられてしまう。 苦悶の表情を浮かべることしか出来ず、満足に抵抗すら叶わない。それほどに、今の引田の力は強いのだ。 そして、そのまま――どちらかといえば細身である引田からは想像もつかないくらいの凄まじい力で、固く冷たい床へと押し倒されてしまう僕なのだった。

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