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操り人形との戦い⑥

(――何とか……あの欠片に当たらないようにしながら……あの蜘蛛の腹を攻撃しなくちゃ――でも、何か武器が……っ……あの白い糸でグルグル巻きにされて補強してある繭みたいな腹を攻撃するには何か武器がないと、どうしようもない……) 未だに、ゴーレムの食べカスとも残骸ともいえる――当たったら爆発する欠片をギリギリで交わしながらも僕は心の中で必死に考えていた。 そして、先程――正気を失う前の引田が誠へと渡していたゴミの山から物色してきた剣の事を思い出す。剣を渡された誠も、そして――操られてしまった引田も共に負傷してしまったため――おそらく、何処かに放置されてしまっている筈だと考えたのだ。 負傷してしまった誠も、操られてしまった引田も――剣を手にしていない事から確信した僕は容赦なく繰り出してくる【操り人形・蜘蛛ノ形】の爆発攻撃に細心の注意を払って交わしながらも――放置されたままで、何処かにある筈の剣を探す。 先程から、ミストやサン――そしてガルフさんも加勢して【操り人形・蜘蛛ノ形】の腹が弱点だと気付き、一斉に攻撃してはいるものの中々上手くはいかないようだ。ミストの魔法は、どうしても詠唱に時間がかかってしまうし――そもそも魔力切れを起こさないために回数に限度がある。ガルフさんの銃での攻撃は、腹の周囲がが白い糸でグルグル巻きに補強されているせいで、何度か弾を打っても弾かれてしまう。そもそも、サンの正確で連続照射可能な弓矢の攻撃でさえも弾かれてしまうのだ。 こうなったら、多少の怪我などしても構わない――。 とにかく、僕が――あの【操り人形・蜘蛛ノ形】の腹まで出来うる限り接近し――剣で攻撃してやるのだ。そして、早く負傷した誠と操られてしまっている引田の手当てをしなければならない。 その強い思いを胸に抱きつつ、僕は倒れてしまっている誠と引田から少し離れた場所に転がっていた剣を拾い上げると無我夢中で【操り人形・蜘蛛ノ形】の側へと近寄り――、 ――グサッ……ザシュッ……!! その鋭い切っ先を――僕の出しうる力全てを込めて【操り人形・蜘蛛ノ形】の白い糸でグルグル巻きにされ補強されている【繭腹】へと勢いよく突き刺すのだった。

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