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操り人形との戦い⑦

――あまり、手応えがない。 最初は巨大な日本人形風の見た目だった【操り人形】が奇怪な姿となった【操り人形・蜘蛛ノ形】の繭腹に剣を突き刺すという事自体は出来た。それは、僕にだって分かりきっている――繭腹へと剣を突き刺した後、奴の無表情で不気味としか言いようのない顔が僅かながら苦し気に歪むのが見えたからだ。 しかし、剣を繭腹へと突き刺す事が出来たというだけで――それ以上はない。僕が奴の頑丈に白い糸が巻かれた巨大な繭玉のような腹へと刺した剣を握る手を幾度となく動かし、そのまま引き裂いてやろうとしてみても――それは叶わないのだ。 (いくら、引田が……ゴミ山の中から拾ってきてくれたとはいえ――こんなに鋭い武器でも録にダメ―ジを与える事が出来ないなんてっ……いったい――どうやったら奴を倒せるんだ……っ……) そんな事を悶々と考えていると、ふいに今まで無表情だった【操り人形・蜘蛛ノ形】の顔が、ぐにゃり、ぐにゃりと歪みながら不気味に頬笑む。そして、血のような紅が目立つ唇を薄く開けつつ――すう、と息を吸い込んだかと思うと――、 ――ピィィィ~…… ――ヒョロロ……ピィィ~…… 次なる攻撃が来るのか――と咄嗟に身構える僕らを嘲笑うかのように薄く開かれた【操り人形・蜘蛛ノ形】の唇から、まるで雅楽の演奏に出てくる篠笛のような音が聞こえてきた。 そして、何故か――フッ……とまたしても幼い頃の想太の顔が無意識の内に僕の頭の中へと浮かんでくるのだ。 (……雅楽の――篠笛の音と……かつての想太の事と何か関係――あるんだっけ……でも、何か……何か……大切な事を忘れている気が……す……っ……) 「……っ……うっ…………ううっ……!?」 【操り人形・蜘蛛ノ形】のぐにゃり、と醜く歪みきった口から発せられる篠笛のような音を聞いている内に頭がクラクラとしてしまい――このままでは正常な判断力を失うのではないかと不安になってしまう程の激しい目眩と、何者かから頭をギューと強い力で締め付けられているという錯覚をせざるを得ない程の強烈な頭痛に襲われてしまうのだった。

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