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繭腹の中で、お眠りなさい② ※誠視点

※ ※ ※ 【おにーちゃん、学校から帰ってきたら●●●と――ヘンゼルとグレーテルのお人形で遊んでね……約束だよ?】 【全く――何故、お前ではなく――●●●が交通事故に……っ……あの日、早く帰ってきていれば●●●はお前を学校まで迎えに行こうとはしなかったのにっ……】 【――あなた、その子を叱らないで。●●●が、その子の後ろで悲しんでるわ――それに、●●●は……そこにいるじゃない】 ――交通事故で亡くなった妹。 ――それを俺のせいだと喚き立てる父。 ――そのせいで精神を病んでしまった母。 ――そんな光景を……他人事のようにボーッと見つめている俺。 俺の記憶であるにも関わらず――それでいて、他人の記憶を覗いているかのような言葉では言い表しようがない奇妙な感覚を抱きつつも俺はパチッと目を開ける。 「おい、おいってば……木下誠――お前、魘されていたぞ……それより、何でこんな場所で木下誠と一緒に閉じ込められなきゃなんないんだよ……どうせなら、優太くんかミスト様が良かったのにっ……」 「……と、閉じ込められた……だって!?」 そういえば、先程の――引田が言うには魘されるくらいの悪夢を見ていた俺が目を覚ました後で真っ先に飛び込んできたのは――困惑をしたかのような表情を浮かべていた引田の顔だったが――それとは別に辺り一面が雪景色のように真っ白な光景だったのを思い出した。 「――多分、ここはあの化物じみた蜘蛛野郎の腹の中だ……ってことは、僕とお前は喰われたってことだよ……そこで、質問だけど――木下誠……お前は何かいいアイディアはあるか!?」 「アイディア――って……何のだ!?」 「あのな、まだ夢見心地なのか?この蜘蛛野郎の腹の中から出る方法が何かあるかって聞いてんだよ……それ以外に、ある訳ないだろ――まったく、ミスト様も優太くんも――何でこんな奴を好きになったんだか……」 ブツブツと文句を言う引田を放っておいて、俺は――とりあえず辺りを見渡してみる。すると、とある箇所にほんの少しだが亀裂があるのを見つけた。その亀裂を、何とか広げる事は出来ないか――と手を伸ばそうとする。 「言っておくけど――その亀裂を広げる事は出来ないよ。手を伸ばそうとして近づけた途端に――新しい糸で塞がっちゃうんだから。はあ、どうしたもんかなぁ……せめて、何か使えそうな物とか武器とかがあればいいのに……って、何だこれ……っ……!?」 ふと、俺が僅かな亀裂に手を伸ばそうとしているのを制止させた引田が深いため息をついてから足元付近に落ちている何かの存在に気付くと――訝しげな表情を浮かべつつも身を屈めて、その何かを拾い上げるのだった。

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